鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

藤井風 - LOVE ALL SERVE ALL

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3/23、藤井風2枚目のアルバムとなる「LOVE ALL SERVE ALL」がリリースとなった。

 

筆者の耳にも稲妻が走った1枚目のアルバム「HELP EVER HURT NEVER」から今日まで物凄い勢いで駆け抜けて来た。誰も観客のいない日産スタジアムに一人で挑み、ツアーも無事開催することが出来た。

特筆すべきはやはり昨年末の紅白歌合戦のアクトであろう。実家中継と見せかけ現地にいるというサプライズからのピアノ生演奏、そしてMISIAとの共演。藤井風の名実ともに広がった一夜だった。

 

先日発表された芸術選奨文部科学大臣新人賞(大衆芸能部門)受賞もかなりのインパクトであった。

「もろてきたでー✨」じゃないのよ(おめでとう)

 

 

「LOVE ALL SERVE ALL」。前作もそうだが彼にはサイババの言葉が深く染み付いているようだ。父の影響もあると本人が言っていたし、部屋にサイババの写真を飾っている様子も見たことがある。

 

サイババがかつて"God is love itself."とも言ったように、"LOVE"=「愛」そして「愛する」ことには物凄く大きな包容力が込められているように感じる。全てを赦し、全てを受け入れる。人間がそうありたいと願う姿の一つだ。

 

"SERVE"は直訳すると「奉仕する」とか「仕える」と言われるだろうが、個人的には「手を差し伸べる」といったもっと上下関係のないものを想像している。傷つけ合うことなく手を取り合って身体を温め合うような、横の繋がりとしての"SERVE"という捉え方が自分にとってはしっくりくる。

 

 

本作をまず一周して初めに感じたのは時の移ろいやそこから切り取る一瞬一瞬が「色」を纏っている点だ。例えば"まつり"や"ガーデン"、"それでは、"には季節を映し出すフレーズが溢れている。日本が誇る四季の移ろう様が脳内を駆け回って、僅かなワードすらカラフルに感じる。

 

また、星野源がラジオで「青春はどどめ色って表現する人とは友達になれそう」と言っていたように、煌めく青い日々を「どどめ色」と言い切る所に驚きと清々しさを覚える。膝に青タン出来た時にしか聞いたことなかったんですけど。でも筆者はこの表現含め、"青春病"という楽曲にとても救われた。《青春のきらめきの中に 永遠の光を見ないで》は一生大切にしたいフレーズ。

 

暖色のバックに目元の赤い藤井風が微笑むジャケットも印象的だ。前作のジャケットがモノクロであったからこそ、藤井風自身の更なる成熟を象徴するような色づきに思えるのかもしれない。

 

 

前作との比較をすると、本作はよりルーツを濃く感じた。だいぶ広いけど70〜80年代辺りのR&B・ソウル+それらに影響を受けた00年代のJ-POP(J-R&Bと言った方が良いのか)みたいなものに改めて回帰したのかなと。

 

それこそ最近かなり音を作り込んだ楽曲が(アルバム1曲目だけど"きらり"とか)多かったので、"やば。"みたいなシティーポップっぽい曲調や"ロンリーラプソディ"のような昭和歌謡チックな楽曲が詰め込まれていて少し予想外のわくわく感があった。前作が完璧な作りすぎて若干心配もあったけど、完全に余計なお世話だった。

 

 

そして凄まじい勢い進んできたからこそなのか「なんで」「どうして」といった怒りや葛藤、虚しさを表した曲も目立った。"damn"、"へでもねーよ"は特に人間味が強くて痛快で苦しい。ただ藤井風の楽曲のルールなのか、どんなに嫌なことも悪いことも受け入れて、爽やかに昇華してくれるのが素晴らしい所。後味が良いため負の感情で進まずに済む。

 

更にこうして内に秘めたものにフォーカスするからこそ"燃えよ"がより輝く。《あぁマジで何も怖くない》って一見若すぎて笑われそうなフレーズだけど、彼が歌うから説得力がある。

 

 

アルバムの最後の曲として、筆者は本当に"帰ろう"が好きなのだが、"旅路"もそれと同じくらい好きな終わり方だった。タイトルのようにその先が見える、終わらない終わり方が心地よい。同じアルバム繰り返しループするタイプなので11曲目から1曲目の繋ぎもとても良かった。

 

 

素晴らしいアルバムが世に放たれたなと思う。まだ購入していない方はカバーの方も最高なので、是非初回限定盤を。

 

藤井風 2nd Album「LOVE ALL SERVE ALL」

<Disc 1(初回・通常盤共通)>

01. きらり
02. まつり
03. へでもねーよ (LASA edit)
04. やば。
05. 燃えよ
06. ガーデン
07. damn
08. ロンリーラプソディ
09. それでは、
10. “青春病”
11. 旅路


<Disc 2「LOVE ALL COVER ALL」(初回盤特典)>

01. Sunny / Bobby Hebb
02. No Tears Left To Cry / Ariana Grande
03. Hot Stuff / Donna Summer
04. Sorry / Justin Bieber
05. Good As Hell / Lizzo
06. Just the Two of Us / Grover Washington Jr.
07. Weak / SWV
08. Overprotected / Britney Spears
09. Teenage Dream / Katy Perry
10. Eh, Eh / Lady Gaga
11. Circles / Post Malone

 

 

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