鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

オンラインライブを楽しむ

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新型コロナウイルスの流行によりライブに行けなくなり早5ヶ月、ようやくいくつかオンラインライブを視聴しました。

 

大好きなロックバンドについては画面越しでも同じ時間軸を生きていると実感できましたし、ライブ中は曲を追うごとにメンバーにも楽器にも血が通っていくように調子を上げていく様子を観て胸が熱くなりました。客のいない観客席が映し出された瞬間はさすがに涙を堪えられませんでしたね。本当にお疲れ様でした。

 

 

 

オンラインライブが今後浸透していくであろう中、配信のあり方について考えたことは大まかに

費用環境体験

の3点に分類できました。まだ発展途上の事業でブラッシュアップ出来そうな部分はたくさんあったので、自分なりに少しまとめてみたいと思います。

 

 

 

 

配信ライブっていくら?

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コロナ禍以前、筆者が記憶している中で印象に残っているオンラインライブは2018年にSuchmosが行ったホールツアー「YOU'VE GOT THE WORLD TOUR」の最終日である神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールファイナル公演の生配信です。AbemaTV、GYAO!LINE LIVEニコニコ生放送スペシャアプリなど計11メディアを通して無料で配信されました。視聴者がやるべきことはアプリのダウンロードくらいのもので、チケットは必要ありません。パシフィコに行っているファンの方々は通常通りチケットを購入して会場に行き、ライブを楽しんでいました。

 

当時から感じていたことですが、やはりオンラインライブは無料でやるべきでは無いと思います。配信における利益率など詳しいビジネスモデルはよくわかっていないのですが、多くの人を雇って運営をしている以上は採算の取れるやり方をしてほしいのです。余裕のあるチームもあればカツカツなチームもあるでしょうけども。

 

加えて客が無料で観られる環境があることを学習してしまうことも危惧すべき点だと感じています。近頃はYouTubeInstagram等での無料配信を多くの人が利用するようになり、アーティストにお金を出す意識が希薄になりつつあります。多くのユーザーがお金を払うように仕向けるには、そのアクトの希少性・貴重性をアピールすることが大切になってくると思います。支払わないと観ることが出来ない、無断転載はダメ、当たり前のようでも意識の植え付けがますます重要になりそうです。

 

金額については公演によって幅があるなと感じましたが現場に行くよりは安いなという印象です。後ほど触れますが、多少お金がかかっても安定したサーバーを確立して欲しい気持ちはあります。いいライブならお金を出す、というのは普段のライブでも同じことです。

 

オンラインライブでは投げ銭(ギフティング)システムを導入している公演もあり、チップ制度がない日本においてはかなり画期的なシステムであると感じました。現場で投げ銭は今後もなかなか浸透することはないと思うので、これができるのは配信ならではという気がします。いいものにいくらプラス出来るかは人それぞれの価値観によるものだと思いますが、自分の基準が明確でない人も多いと思いますのでいい機会になるのではないでしょうか。

 

 

 

配信プラットフォーム多くてよくわからない

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私たちがいつも利用しているプレイガイドはオンラインライブにも様々な形で関わっているなと感じたのですが、主力が既に数社なのでそこまで混乱することもありません。それに比べて配信プラットフォームの種類ちょっと多すぎじゃないですか?キャッシュレス決済手段並みじゃないですか...

 

至って普通の流れだとは思うのですが、今後ユーザビリティの低いもの、サーバーが視聴者数に対応できないものはどんどん淘汰されていくと思います。アーティスト側が使わなくなる...と信じたいけれど事務所のマネジメントにもよるんでしょうか。

 

筆者は最近「嫌な経験をしたプラットフォームを使うオンラインライブは、いくらそのアーティストが好きでも観ない」という選択をしました。

渋い思いをしたからとはいえここまで頑なに購入しない選択を出来たのが自分でも不思議です。だってライブは普通にめちゃくちゃ観たかったので。自分の中で相当不快な出来事だったんでしょうね(他人事)。

 

ライブハウスは入場さえすれば(身長などの問題は置いておいて)観られますが、オンラインライブは中継してもらわなければ観られない。自分の視聴環境を完璧に整えても、サーバーが弱ければ「観る」ことにストレスが発生します。ログインできない、ブツブツ切れる、止まる...想像しただけでもストレス...

今後の課題になると思いますが、配信する側もたくさん試行錯誤して対策してほしいですね。

 

筆者が配信に慣れてないのでなんとも言えませんが、ツールが徐々に絞られていくといいなと思います。なるべくシステムがシンプルで観やすいものを利用者も選択していけるといいですね。いっそサザンオールスターズのように規模の大きいアーティストは複数の配信メディアを使うのも手ですよね。

 

 

 

配信のための環境整備

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皆さんはオンラインライブをどこで観ますか?多くの人は(この状況下ということもあり)きっと自宅で観ることでしょう。好きなカフェでゆっくり観る方もいらっしゃるかもしれません。残業した方は電車の中で。

バイスさえあればどこでも観られるというのがオンラインライブの1つの利点であると感じます。限られた場所に集まることは時間的・空間的な楽しみがありますが、各々の事情でそこに向かえない人々というのは必ずいるものです。

 

仕事を休めない。

子供や親の面倒を見なければならない。

遠征を家族から禁止されている。

体調の関係で参加が難しい。

 

こういう「行きたい気持ちがあるのに涙を飲んできた人々」の救済措置になる面が大きいですね。遠征費も馬鹿にならないですからね。

 

しかし、自宅で視聴していると自宅ならではの問題があることは否めません。子供が泣き出したり、荷物が届いたり...以前筆者は自宅で配信ライブを観ていたとき1階にいた姉に呼び出されてお風呂の電球の交換をさせられたことがありました。高身長の運命(さだめ)。

ライブ会場に行くといつも現実逃避出来るような感覚がありましたが、集中してライブを観る環境を自分で作る難しさというのはあるかもしれません。ライブハウスやホールは公演を行うために作られた建物ですから適わないのはもちろんですが、物理的な距離が自宅でのタスクから引き離してくれていたという面もあったんですね。

 

それでもせっかく自宅等で楽しめるのですから、視聴環境にこだわってヘッドホンやスクリーン、スピーカーの良い物を購入するという楽しみもありますね。

好きなものを食べたり飲んだりしながら観られるというのもいいですよね。そういう点ではフェスに近いような印象があります。もっと快適な席と視界が用意されていますが。

 

 

 

ライブ体験にどこまで近付けるか

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どれだけいい環境で配信ライブを観ても、生の音には及ばないというのは残念ながらあります。大きい音の鳴る空間で音を浴びることは何かが介在していては成しえない行為なので、配信は「ライブに対して100%完璧な代替案」にはなりえません

それでもこんな世の中で好きなアーティストの音楽が続いていることが確認出来る機会になってくれるので、個人的には今後もどんどんやってほしいです。また近い将来普通に客を入れてライブができるようになっても、配信と共存してそれぞれの利点を生かしてほしいなと思います。

それこそ先に述べたSuchmosのように配信を併存させた公演があってもいいのではないでしょうか。価格設定はオンライン組が少し安くなるんですかね...?このあたりは勉強したいと思います。

 

 

共有者が増える不思議

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SNSの普及によりオンラインライブの方が「ライブをみんなで観ている感が強い」というのは新しい発見でした。キャパが決まっている会場でのライブに比べて視聴者数が桁違いに多いというのはもちろんですが、ハッシュタグをつけて公演中思ったことを記録も兼ねてツイートしている様子を見て、感想や感動をリアルタイムで他人と共有しているのは普段のライブではない光景だなと思いました。それぞれの場所で各々観ているはずなのに、なぜかそれをシェアしたくなってる不思議。離れているからこそ繋がりたくなるんでしょうかね。

 

簡単に繋がれることによる一体感はメリットにもデメリットにもなりうると思います。個人的にはライブは自分とアーティストの1対1でありたいので共有することに集中したくないとは思っていますが、アーティストのライブスタンスにもよるのかなと感じます。

先日あるアーティストがリスナーをリモートで背景に映し出し、みんなでダンスをしている様子がニュースで流れていました。これも技術の恩恵を受けた会場一体型アクトの新しい形ですよね。

 

客が目の前にいない環境をアーティストがどう利用していけるかという点も楽しみの1つかもしれません。

 

 

 

アーカイブはどこまで優しくあるべきか

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アーカイブの在り方についても意見が割れそうだなと思いました。客だけでなくアーティストにもアーカイブあり派となし派がいますよね。

あり派の意見としては「仕事や用事などでその時間観られない人のためのアンコール放送がほしい」「回線不調で観られなかった」「配信だからこそ何度も再生したい」でしょうか。なし派は「ライブは本来一期一会」「その瞬間だけの緊張感を大切にして欲しい」「再演がないのは普段のライブと同じ」あたりですかね。

 

正直どちらもそうだよなあという気持ちです。ちょっと無理やり色分けした部分もあるのは許して欲しいのですが、前者はオンラインの強みを享受しよう派、後者はなるべく普段のライブと同じスタンスに近付けたい派なんですかね。

 

山下達郎さんが配信にあたってかなりこだわりのある取り組みをしていたので、それもちょっと気になってます(詳しくは調べてみてください)。

 

 

 

総括

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今まで配信を行ってこなかったアーティストもどんどんトライしてくれていて、新しいやり方を探っている状況にワクワクしています。アーティストに肩身の狭いこともたくさん起きていますが、継続して楽しいことを提案・提供してくれることが本当にありがたいです。

我々はこの配信システムに磨きをかけるためにきちんと見極めて取捨選択をし、適切にお金を払っていきたいと思っています。

 

 

来週音楽を生業とする方とオンラインで飲む機会があり、いろいろ質問させて頂く予定です。昨年末その方と飲んだ後、「年明けたら日程合わせてまた飲みましょう」なんて話していたのにあっという間に世界がこんな感じになってしまい、今回やっと実現できそうなのです。緊張するような、ほっとしたような、嬉しいような。オンラインライブのことはやはりまだまだよくわかっていないのでプロに聞いて知識や意見を固めていきたい所存です。

 

 

 

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