鯉の滝登り

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UNISON SQUARE GARDEN - TOUR 2021-2022「Patrick Vegee」@さいたま市文化センター

※この記事はUNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021-2022「Patrick Vegee」のネタバレを含みます。

 

 

 

 

待ち焦がれていたツアーが、ようやく始まった。

 

UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021-2022「Patrick Vegee」、初日公演は10/6 埼玉県・さいたま市文化センターにて開催された。

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2020年7月にリリース予定だった8枚目のアルバム「Patrick Vegee」は同年9月末にリリースされ、その後回るはずだったツアーは一度白紙になった。紆余曲折を経てのツアー開催、感慨もひとしおである。

ただこのロックバンドに「アルバムツアーがやれるようになるまでライブはできない、やらない」などという選択肢はなかったようだ。それこそ前述のツアーで回るために抑えていたであろう会場は「LIVE (on the) SEAT」として生まれ変わったと思われるし、数回の配信ライブに加え「Normal」、「Spring Spring Spring Revival」、「CIDER ROAD Revival」、そして先月は久々の「fun time ACCIDENT」と、休むことなくライブをやり続けてきた。この特殊な状況下に関係なく、元々こうやって年中バンドの顔をしているバンドなのだ。

 

まだ世はこんな状態だが、その中でライブをやる方法というのが運営側も客側も見えてきた。手探りだった一時期よりもはるかに参加しやすくなったというのは実感としてある。難しいけど、やるべきことをやるだけなんだよね。難しいけど。

 

ブログで田淵さんが仰っていた通り、1年寝かせたことによるセットリストの変化もあったのだろう。そのあたりにも勝手に思いを馳せつつ、今日のライブを振り返りたい。

 

 

18:30、定刻開演。

 

今の形式になってから開演前にVINTAGE ROCK若林さんのご挨拶が入るようになったので、若林さんのお声聴いただけで何だか泣けてきてしまった。完全にパブロフの犬で言うところのメトロノームみたいになってる。

 

3人の装いはこちら。コメント珍しいね↓

 

 

アルバムツアーはアルバムの1曲目をそのままセットリストの1曲目に組み込むことが多いけれど、本ツアーは"Simple Simple Anecdote"からスタート。変更前もめちゃくちゃいい1曲目だなと思ったけど、この曲から始まるのはプログラムcontinuedツアーの一発目に"さわれない歌"を差し込まれた時の、あの気持ちに近い。

冒頭《全部嫌になったなんて簡単に言うなよ...》のフレーズを弾き語り。こういう素敵なフレーズを頭に持ってきて斎藤さんが弾き語るスタイル、歌詞がガンガン刺さってきて軽率に感動してしまう。

 

斎藤「ようこそ!」


"Hatch I need"→"マーメイドスキャンダラス"の流れは健在。今回のアルバムは特に繋ぎを意識して作られているけど、この部分は特に「8枚目」を担ってますからね...

"Hatch I need"って思っているよりBPM速くないから《I need Hatch》の連呼部分とか歌も楽器も合わせるの大変だなと思うけど、流石の経験値と貴雄ちゃんの引率力よ。"マーメイドスキャンダラス"は落ちサビの打ち込みが素晴らしかった。ピンク×青の照明も曲に合っていて綺麗。


続いて"Invisible Sensation"。ファーストセクションで唯一の既発曲。《どうしても消えないままの 残酷時計は...》のところ歌う時に斎藤さんが肩幅よりやや広めに足開くのが気になった。よくよく見たらたまに足を開いてまた閉じて、というのをやってる曲が幾つかあったので、あれは意識的にやっているものなのか...いつか聞けたらいいな。

 

斎藤「UNISON SQUARE GARDENです!」

 

暗転中突然話し出す貴雄ちゃん。スタッフさんが来てて何か笑ってた。斎藤さんにオフマイクで「〜しなきゃバレない」みたいなこと言ってた。何したの?笑

田淵さんは両肩ぶんぶん回してた。ツアー初日の暗転中身体動かしてること多い気がする...無意識に意気込みが現れてるのかな。

 

斎藤「リリースしてからもう1年経つのか。約1年越しのアルバムツアーをようやく、今日から回ることができています。1年以上経つともう曲が真っ新な状態になっちゃってるんだけど、皆さんはきっとこの1年間たくさん聴き込んでくれて、我々以上に身体に入ってるんじゃないかと思います。どうか最後までよろしくお願いします!」


"フライデイノベルス"。アルバムの話した直後Patrick Vegeeの曲じゃないのめちゃくちゃ面白いな。斎藤さん、Dr.Izzyツアーの時はアンコールだったこともあって冒頭の高音出てなかったのに、最近は全然辛そうじゃなくて本当に努力の人だなと思う。

貴雄ちゃんがラスサビ前ドラムないところでインナーパタパタしてた(あつそう)。


拍手が鳴り始めたのも束の間、"ラクリカルカレ"のイントロが。え、あれってフェスかライブハウスで聴けるものじゃないんですか...?錯乱。この曲が固定枠なんだとしたらシンプルに嬉しい。ドラムが入るまでのイントロギター中の貴雄ちゃんの色気凄い。

 

斎藤「新っ曲!」


10/6にリリースしたばかりの新曲"Nihil Pip Viper"。「Spring Spring Spring Revival」の円盤をフラゲして、斎藤さんと田淵さんが出演したRK802も途中まで聴いたけど、この曲の一聴目をライブに取っておいて良かった。

にしてもUNISON SQUARE GARDEN的「裏切り」と「ニヤリ」が散りばめられすぎていてウケた。

まず「裏切り」だが、このタイトル聞いて勝手にシリアス系を想像してしまっていたために、予想していなかったポップさに意表を突かれた気分になった。タイトルもよくわからんけど。

「ニヤリ」は完全に歌詞と、歌詞にリンクしたあれこれ。親の声より聴いたあのドラムとかね。

他の作品に登場していたキャラクターがしれっと登場する、というのは色んなジャンルにおいてあるんだろうけど、筆者はこれを勝手に「伊坂幸太郎的」と呼んでいる。ユニゾンのこういう歌詞の作り方はまさに「伊坂幸太郎的」なんだよな。

こんなこと言いながらまだちゃんと聴き込んでいないので、ツアー終わるまでに色々な発見が出来たらいいなと思う。

久々のタイアップなしシングルというのもいいよね。最近はリバイバルも多かったし、インタビューから考えても過去曲を丁寧に洗い出していくフェーズなのかなと思っていたから、「UNISON SQUARE GARDENの新しい音が聴ける」というのは心躍る。


"Dizzy Trickster"。《席はちゃんと空けておくから 間に合わないなんてないんだよ》って噛み締めながら歌う田淵さんの表情が全身に沁みた。今色んな事情でライブに行けない人々に、あのシーンを伝えたい。

曲終わりに斎藤さんがオンマイクながらぼそっと「ありがとう」って言ったの、めちゃくちゃズルだった。


アルバムを聴いていて特にライブ映えする曲だろうなとは思っていたけど、"摂食ビジランテ"も本当にかっこよかったな。赤の照明も合ってた。Patrick Vegeeの軸ってやっぱりこの曲なのかな。


拍を置かずに繰り出した"夜が揺れている"、あまりに良すぎた...JET CO.大好き芸人、イントロで叫びそうになってしまった。ラスサビ前のドラムからラスサビのキメの迫力に心臓震えたわ...


"夏影テールライト"はこの1年間色んなところで披露してくれていた曲。中には歌詞危ういときもあったけど、今日は大丈夫だったと思う。サビのリズム隊のコーラス、本当に愛おしいよね。暖色系の照明がセンチメンタル。

そういえば"Invisible Sensation"の所で書いた足開くやつ、この曲のCメロでもやってた。以前からやってたのかもしれないけど、今回上手側の席だったから特に気になったのかもしれない。


そしてここで"オーケストラを観にいこう"はやばすぎる。思わず涙が出てしまったし、バックの夕焼け色とか、最後の暗転とか、すっかり2018-2019年に引き戻されてしまった。全国色んなホールやライブハウスで見たあの景色が走馬灯のようにフラッシュバック。


しかし余韻に浸る暇も拍手する暇もなく"Phantom Joke"を繋いでいく。そういう所好きだよ。リリースされてからもう2年経つんだね。この曲も斎藤さん苦労してた覚えがある...って斎藤さん毎回大変すぎるな。でもご本人めちゃくちゃ負けず嫌いだし、ちゃんとクオリティ上げきれるっていうのも凄い。

 


待ってましたドラムソロ。立って叩いてから座って手数が増えるところで赤照明に照らされる貴雄ちゃんかっこよすぎたな...毎回本当に天才の所業でしかない。

セッションは3人のソロパートに加えてお得意貴雄ちゃん主導のキメ入れる所があったんだけど、今回は貴雄ちゃんが「2!」「5!」「8!」ってキメの数言ってた。"instant EGOIST"の2,3,2,5的な。あれ打ち合わせなしなのかな。

 

セッションから続いたのは"世界はファンシー"。イントロの田淵さんはいつもやってる動きしてたけど、改めてムーブセンス凄くない?あのイントロに合う動きってあれしかないなとすら思えてくる。

1Aの斎藤さん、悪魔の囁きみたいなこそこそ声で歌ってて痺れた。《My fantastic guitar!》は斎藤さんにこれでもかってくらい白い照明が突き刺さってた。

 

"スロウカーヴは打てない (that made me crazy)"ではしゃぐ田淵さん見るのが好き。サビ前めちゃくちゃスタッカートな「チョッキューです」が個人的に大ヒットしてる。

ところで田淵さん、よくそのキーのコーラスできますねと毎回感嘆してしまう。

 

《凸凹溝を埋めています つまりレイテンシーを埋めています》といいつつ、埋められたのは"天国と地獄"でした。セトリ組む上でアルバムのラインナップから外されるとしたら"Catch up, latency"かなと思っていたけど、"天国と地獄"は大好きなので無問題。いい裏切りで心地よい。

フェスやイベントでたまにやる、イントロ3回繰り返して「UNISON SQUARE GARDENです!」ってやつとても好みなのでまた近いうちに聴きたい。


貴雄ちゃんがヘッドホンを装着したと思えば"シュガーソングとビターステップ"!皆各々踊り出したフロアを見て斎藤さん破顔。やっぱりシュガーはこうでなくちゃね。

 

斎藤「ラスト!」

 

"101回目のプロローグ"。歌い出し混ざって「ごめん 全然好きじゃなかった」って言ってた。

配信の時から危惧してた間奏の部分はやっぱりギターが走ってて、貴雄ちゃんががんばってそっちに合わせようとしてたけどなかなかズレてた。斎藤さんが振り返って「ん?」みたいな顔してけど、まぐれは起きなかったね...これはなかなか負担の大きいパートだと思うので、ツアー終盤での完成度に期待です。

ただどれだけズレてもその後のアカペラで全部チャラになっちゃうんだよなあ。斎藤さんの声、本当に宝物みたいに綺麗だよね。



そしてアンコールありました。

斎藤「アンコールありがとうございます。まさしくツアー1本目、って感じだったし、これがあと19回できると思うと最高に楽しいです。今日はありがとうございました。では、アンコールいきます!」

といいつつ貴雄ちゃんが入れず仕切り直しに。

貴雄「あーごめん、もう1回最初からやってもらっていい?笑 お願い、もう1回...」

スティック持ったまま眉寄せてお願いポーズ。可愛い。

斎藤「えー?最初からっていうのが1番困るんだよなあ...

アンコールありがとうございまあす!ツアー1本目めちゃくちゃ楽しかったでえす!これがあと19回もできるなんて最高でえす!笑

アンコールいきます!」

早口でチャラめのやり直し笑った。


アンコール1曲目は"crazy birthday"。UNISON SQUARE GARDENの楽曲って元々コールアンドレスポンス少ないけど、こういう時代になったからこそリズム隊のお声がちゃんと聴こえて嬉しい。こちらも別にそこまで声出したい訳じゃないし。


そしてなんと"オトノバ中間試験"。瞬時にガッツポーズしてしまって恥ずかしさすらあった。誰も見てないのにね。

リリース前に披露されてたあの期間のことを思い出しては口が緩んでしまう。細胞レベルで愛している曲だからこそ、定期的に浴びないと生きていけないよ...《いくらなんでも都合良過ぎるから あんたなんかと踊れない》は一生自分の傍に置いておきたい。


ラストは"春が来てぼくら"。"弥生町ロンリープラネット"からの流れは配信でやってたけど、あれは元々ツアーでやろうとしてたのかな。でもリリース前の方が驚きがあったしあの形が1番良かったとは思ってるけど。

アルバムの中では古株で、バンドとしてもとりわけ大切にしているんだろうなというのが色んなライブを通して感じていた。本当にいい曲だし、ロマンのある締め方だったな。

 

 

泣いてたかどうかなんて非常に野暮な話なんだけど、田淵さんのあんな顔見せられたらこっちまで涙腺崩壊するからやめて。

はけ際3人とも客席をよく見ていたのが印象的だった。嫌だな、我々だって立ち止まることなくこの時代を生きてるんだよ。

 

 

アルバムツアーを舐めていたというか、1年寝かせたことで更にとんでもないツアーに進化していて腰を抜かしてしまった。アルバムツアーで得られる充足感みたいなものも完全に忘れていたな。「食べられないなら、残しなよ。」とは言われていたものの、胸がいっぱいすぎてこの100分弱を完食できたかどうかは自信が無い。たくさんおかわりしたい気持ちはあるけど今は飛ばないと決めているので、年明けの公演を楽しみに毎日を生きたい。

 

 

全国ツアー開催に至って本当に良かった。各地で大きい音を存分に鳴らしてきて欲しい。

 

 

 

10/6 UNISON SQUARE GARDEN - TOUR 2021-2022「Patrick Vegee」@さいたま市文化センター セットリスト

1.Simple Simple Anecdote
2.Hatch I need
3.マーメイドスキャンダラス
4.Invisible Sensation

5.フライデイノベルス
6.カラクリカルカレ
7.Nihil Pip Viper
8.Dizzy Trickster

9.摂食ビジランテ
10.夜が揺れている
11.夏影テールライト
12.オーケストラを観にいこう
13.Phantom Joke

14.ドラムソロ~セッション
15.世界はファンシー
16.スロウカーヴは打てない (that made me crazy)
17.天国と地獄
18.シュガーソングとビターステップ
19.101回目のプロローグ

en1.crazy birthday
en2.オトノバ中間試験
en3.春が来てぼくら

 

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