ロックバンドがライブをするとき、メンバーの入場時には多くの場合決まった出囃子=SEを流す。そして大抵は手拍子を誘って盛り上げるような、リズミカルな楽曲が選ばれるように思う。演者もそれに伴って袖から飛び出てきて、大きな歓声が起きる。
ただ、UNISON SQUARE GARDENはちょっと違う。SEに使用されている楽曲は｢手拍子を誘って盛り上げるような、リズミカルな楽曲｣ではない。むしろ真逆で、その空間に静寂をもたらすような神聖さがある楽曲。
イズミカワソラさんの"絵の具"。
ユニゾンのライブに足を運んだことのある人ならほとんど聴いたことがあると思います。そしてソラさんと彼らは互いのトリビュートに参加したり、一緒にトークイベントをしたりとその仲を深めてきた。
そして満を持しての共演。5/13、UNISON SQUARE GARDENの自主企画｢fun time HOLIDAY7｣。本日含め3公演、どれもこのタイミングだからこそ選ばれた人々である。
筆者は本日のみの参加ですのでネタバレ有りで簡単にレポします。これから参加される方は是非回避を。
まずはひつまぶしを頬張って物販へ。
なかなかシュールなはくぱんくんを横目に、ラバーバンドとえびぱんくんキーホルダーを購入。
そして7/24発売予定のソラさんのベストアルバムが本日限定で先行販売とのことでこちらも購入。"絵の具"が再録されているので、Scene1バージョンとの聴き比べが楽しみ。
18:00、入場開始。
入るとステージバックに黒幕があり、｢FTH7(TH)｣の文字が大きく掲げられていた。デザインはftH7オフィシャルサイトのトップに書いてある、御三方の真上の文字そのまんまです。Tシャツにもなってるあのデザイン。
下手側にグランドピアノが置いてある。筆者もピアノを習っているので見慣れてはいるのですが、ライブハウスのステージにあることがなんとも新鮮でした。
19:00、定刻開演。
SEはなしで、サポートメンバーと共にソラさん登場。
名古屋 「fun time HOLIDAY 7」あたたかく迎えて下さって本当にありがとうございました！とても楽しかったです！
— イズミカワソラ (@sora_sora_sora) 2019年5月13日
田淵さん、斎藤さん、鈴木さん、スタッフのみなさんありがとうございました！
今日のメンバー、只熊良介、雲丹亀卓人、大野由紀子、新井恵、スタッフはギタリスト DAKEN、ありがとー！ pic.twitter.com/s9br086AtW
左からベース、ドラム、女性お二人はバイオリン。
青い照明に包まれる...え、もしかしてこの展開は。
静寂を包み込むように、柔らかいピアノの音が響く。"絵の具"である。馴染みのある音色の生披露にフロアからもどよめきが。
最初からボロボロ泣いてしまった。ライブが始まる高揚感や期待感、始まりだからこそ感じる終わりへの寂しさなど、UNISON SQUARE GARDENのライブに関わる自分の感情を全部見守ってくれている。改めてこの楽曲の持つ力を認識することとなった。バイオリンの音色が琴線に触れる。
ソラさんのピアノもそうだけど、歌も楽器みたいですよね...あの華奢な身体からは想像もできないほどのエネルギッシュなアクトが繰り広げられる。
サポートの方々とのアイコンタクトもお互い満面の笑みで、信頼関係が垣間見えました。
ソラ｢ここで本当は"願い"という曲を弾き語りでやろうと思ってたんですが…みんな読んだ？田淵さんのブログ。あれを見て曲を作ろうと思って、見たのが21時頃で息子を寝かしつけたりして結局23時になって、そこから書き始めて...あ、わたし4歳の息子がいるんですけど。でその日中に良い曲ができなかったら諦めようと思ったんですが、1時頃に何とか完成して。わたしはいつも皆さんから貰ってばかりで何も返せてないから、ユニゾンやユニゾンクルーの皆さんへの感謝の気持ちを、ファンのみんなを代弁するなんてそんな烏滸がましいことは出来ないけど、アンサーソングのようなものを作りました。
普段はフロントマンが譜面を見るのは〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇だと思ってるけど、あ、SNSとかに書かないでね！わたしなんてちっぽけな存在はすぐに握り潰されてしまう笑。でも今日はさすがに覚える時間まではなかったので...(おもむろに譜面台立て始める)見ながらやらせてもらいます｣
15秒しか喋っちゃいけないという謎の縛りにあたふたしつつもその想いを語ってくれたソラさんは、そのアンサーソングを披露。ベースの方のツイートで知ったけど、これはサプライズだったみたい。途中涙ぐんでしまって声を詰まらせながらも必死に紡いでくれる場面もあり、筆者貰い泣き。優しく見守るリズム隊の皆さんが素敵でした。
披露後｢歌詞がいいのに泣いちゃった〜｣とタオルで目をおさえるソラさん。とても伝わりましたよ。きっとユニゾンの御三方やユニゾンクルーの皆様にも。音源化して欲しいような、今日限りでもいいような。
"ソラまで"も披露。歌詞が詰まっていて歌うの大変そうだったけど、大切にしているのがよくわかるアクト。田淵さんも嬉しかっただろうなあ。
ソラさん、キラキラした素敵なアクト、ありがとうございました。こんな素敵なアーティストに出会わせてくれたUNISON SQUARE GARDENにも、ありがとうございます。
ソラさんのアクトは19:40頃に終了し、転換。
ユニゾンのクルー、メンバー変わりました？今回だけかなー。ベース担当されてた髪くるくるの人いなくて高身長のシルエットの竹内涼真風(暗くてお顔よく見えませんですみません)な方だったなー。女性増えてた気がする。梅さんはいらっしゃいました。ベース動き回りチェックしてて笑ってしまったけどめちゃくちゃ大事ですね。ありがとうございます。
20:03、UNISON SQUARE GARDENのアクト。
田淵さんのブログで今回から"絵の具"は新録の方になると告知がありましたが、同じアレンジといえどやっぱり変化を感じる。テンポよくリズムを刻むトライアングル？の音色がScene1のときより濃い感じがするし、声色も変わった。それでも清い雰囲気は健在だった。
3人が登場。ちょっと長めの"絵の具"からセッションへ。えーこの感じ"流星前夜"っぽいなやばいな〜セッションの引き出し凄いな〜なんて呑気に考えていたら斎藤さんが置くように一言。
｢"流星行路"｣
いやー、今年ボーナスセトリが多すぎて困るわ。って言いながら4月の大阪2daysの記事完成させてないことに気が付いた。また後日。
と思えば"シュガーソングとビターステップ"へ。そういえばリリース以来初めてこの曲をセトリから外したのってftH6だったっけ。違ったらごめんね。
舞洲まで封印されると思っていた"フルカラープログラム"。ドラムのイントロから歓声がすごくて、ああみんなユニゾンのオタクなんだなとなぜかしんみり。多幸感ラインで顔が緩む。
斎藤｢ようこそ、fun time HOLIDAYへ！｣
"マジョリティ・リポート〜"、"マイノリティ・リポート〜"のDr.Izzy軍団。やっぱり"マイノリティ・〜"ってめちゃくちゃ難しそう、とは素人の感想。
斎藤｢Ladies and gentlemen, boys and girls？ Get ready! AICHI! "like coffee"! C'mon!｣
お久しぶりです"like coffeeのおまじない"！抜かりなく｢愛知｣と言う斎藤さんが好き。そしてシンプルにめちゃくちゃ華があるー。好きー。
THE KEBABSのダブルボーカル効果で田淵さんの歌声に聞き慣れちゃってる自分がいる。なんとも言えない気持ち。
"23:25"を終えてMC。
斎藤｢...ちょっと待って信じられないくらい暑い…(田淵さんに)ダイヤってこんな暑かったっけ？俺だけ？みんな暑いよね？だよねよかった。
みんなソラさんのライブ見てくれました？いやあ素晴らしかったね！あの出囃子とか一切なしで無音で登場してからの絵の具！僕ら多分日本で1番絵の具を聴いてると思うんで笑。生で見れて『うわー本物だー！』ってのと、癖でステージに出て行かないようにしないとって思いながら聴いてました笑。
この曲はインディーズ時代...それこそアマチュアのときから、プロのフの丸すら付かないような時代から僕らの出囃子？SEって言うんだけど、SEとして使わせてもらってて。で、デビューしてソラさんに我々の事を知っていただいて関係を持っていったんだけど。今日最初にやった曲はその頃のアマチュア時代にたくさんやってた曲で。"流星行路"って言うんだけど...みんな知ってる？知ってるか...いやー緊張したわ。そのあとの"シュガーソング〜"の安心感と言ったら笑。
で、ソラさんは今年我々のトリビュートアルバムに参加してもらって。"ガリレオのショーケース"という曲をカバーしてもらって、こないだちらっと聴かせてもらったんだけど、あの人ぶっ飛んでますね〜笑。めちゃくちゃかっこよかった。
ほんと今日はソラさんと一緒にやれてよかったです。ソラさんありがとうございます！...たくさん喋ってたから貴雄が飽きてきちゃったね」
鈴木｢(ドラム叩きながら)フゥー！じゃないよ笑。(シャンシャンしながら)は〜い！これがハイハットで〜す！...だからなんのフゥー！なの笑｣
斎藤｢(田淵さんに)あとなんか喋ることあったっけ？」
田淵さん、足元のセトリの紙を見る
斎藤｢あー。ソラさんのことは学生の時からの友人の田淵くんが教えてくれたんですけど。僕の知ってる音楽はほとんど田淵くんに教えてもらいましたから笑。
で田淵くんはソラさんに多大なる影響を受けてまして。影響を受けてるに留まらず...あの、ソラさんのデビュー曲"等身大の地球儀"っていうんですけど、田淵ついにタイトルまでパクりやがった！と思って笑。次はそのパクった曲をやってみたいと思います｣
"等身大の地球"！今までダイレクトに言及されたことってなかった気がするけどルーツシリーズ嬉しいですね。ベースのゴリゴリ度が増しててかっこよかった。
最後｢デッデッデッデー｣で終わるのかと思いきや田淵さんがベースラインを続ける...おやアレンジかと思ったのも束の間、斎藤さんが中央に出てきて一言。
｢カズーやりまぁす｣
完全に味をしめましたな。カズー斎藤を見るのはこれが2回目だけど、立ったままは初めて。片手にマイク、片手にカズー。え、なんかちょっとチャラくていい。SKY-HI意識してる感じあっていいな。彼はさすが努力家というか負けず嫌いというか、素人耳ながらどんどん上手くなってる気がする...。ぜひまたやってほしいです。
そして"ガリレオのショーケース"。いつもは自由にやる曲というイメージだけど、今日はソラさんへの感謝が込められてる感じがあってよかったなあ。
斎藤｢オンドラムスタカオスズキ！｣
某ツアーを思わせるドラムソロ。ダイホならドラム台あってもいいのにな、と思いつつ貴雄さんの所作の神々しさに見とれる。直後"Invisible Sensation"→"天国と地獄"の流れの良さよ。
｢ラスト！｣ "Catch up, latency"。ずるいよー。この締め方はずるいよー...最高ですありがとう
そしてアンコールに登場した3人。
斎藤｢あのー、本当はここで少し喋る予定だったんですけど、ソラさんがもう帰らないといけないということで、先に1曲やります！僕らがトリビュートに参加させてもらった"サイボーグ99%"！｣
ユニゾン版もめちゃくちゃ好きだったので生で聴けて嬉しかったな。3人とも楽しそうだった...
斎藤｢ありがとうございました、"サイボーグ99%"、トリビュートバージョンでした！(ステージ袖に向かって)急いで帰って！笑｣
笑顔で手を振る斎藤さんに笑顔で手を振るソラさん。深々とお辞儀する田淵さん。ニコニコ貴雄さん。ありがとうございます。
斎藤｢そういえば今日カメラが入ってる理由言ってなかったよね？7/24に出る我々のトリビュートアルバムにクリエイターの方が参加してくれてそれぞれ作品を作ってくださってるんだけど、その中で僕らのMVをずっと撮ってくれてるフカツマサカズ監督が僕らのドキュメンタリーを作ってくれてまして。今日の映像も撮ってて、これまでも個別でインタビューとかあったよね。これからもリリースまでに色々撮る予定ですので、結構なボリュームになると思います。なので良かったら是非CDを買って、見てみてください。
じゃああと1曲やって帰りましょう。ありがとうございました、UNISON SQUARE GARDENでした！｣
貴雄さんヘッドホン装着で"君の瞳に恋してない"...かと思いきやまさかの"徹頭徹尾夜な夜なドライブ"。ああ忘れてた、ここはfun time HOLIDAYの世界線だった。
今日も最高のライブをありがとうございました。
UNISON SQUARE GARDENの対バンって本当に容赦ないというか、先輩だろうと後輩だろうとバチボコに潰しにいくその真剣さと完璧さが好きだけど、今日は毒っ気なくリスペクトに満ちていてこれもまた良かったです。
ユニゾンのファンとして深く心に刻まれる一夜でした。残りの二夜どんな感じになるのか楽しみ。そういえばftH7って貴雄さんメインのゲストさんっていないね。全員と交流あるのは大前提だけど、きっかけパーソンが貴雄さんの対バンも見たいので近いうちに是非。
個人的には"オトノバ中間試験"が何か大事な役割を担っているのではないかと気が気じゃないです。
5/13 fun time HOLIDAY 7@新栄DIAMOND HALL セットリスト
01.絵の具
02.Plastic City
03.Fly
04.はじまりの音
06.はがねマシーン
07.リピートブライトデイ
08.ソラまで
09.麗しき月夜の話
セッション
01.流星行路
03.フルカラープログラム
04.マジョリティ・リポート (darling, I love you)
05.マイノリティ・リポート (darling, I love you)
06.like coffeeのおまじない
07.23:25
08.等身大の地球 (アウトロアレンジ・斎藤カズー)
09.ガリレオのショーケース
ドラムソロ
11.天国と地獄
12.Catch up, latency
en.
01.サイボーグ99%(カバー)
02.徹頭徹尾夜な夜なドライブ
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