鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021「Normal」追加公演(3/23)

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あんなにチケットが取れなかったのはUNICITY会員ライブ「UNICITY Vol.1」以来だと思う。何回応募しようとも入場の権利を得ることが出来なかった。

 

2月2日〜3月2日の約1ヶ月、4都府県8公演を行った「Normal」ツアー。昨年末からチケットの先行が行われており、遠征をしない範囲で全ての先行に応募したが、ことごとく打ち砕かれてきた。蓋を開けてみれば2枚応募なら当選の可能性が高かったようだが、これに関しては掘っても仕方ない。一緒にライブに行く友達などいないし、今となっては割り切れている。

 

以前好きなミュージシャンに「チケットが外れた時は平気な顔しないで悔しがってくれた方が嬉しい」と言われたことがあり、それ以来外れたらきちんと悔しがることにしている。この期に及んでUNISON SQUARE GARDENのツアーに行けないというのはかなり辛かった。仕事中に当日券が出たのを友人がわざわざ教えてくれて挑むも呆気なく散った。あれは思い出しても虚無。

 

それが割り切れたのは、追加公演の一報が入ったからだ。3月23日、24日の2日間、ライブハウスではない少し大きな会場でやりますよ、と。

しかも落選者の優遇措置があった。広い会場だからいずれにせよ希望者は皆参加出来たのだろうが(素晴らしいことだ)、行けなかった人にちゃんと見せてやりたいと言われているようでこれはとても嬉しかった。

 

世はこんな風だけど、お互いに日々息をしている。それを実感したい。ならば今、見に行かなくては。

 

 

前置きが長くなった。

 

 

3月23日、神奈川県・ぴあアリーナMMにて「Normal」の追加公演に参加した。

ぴあアリーナMM。昨年4月にこけら落としの予定であったが延期となり、同年7月10日(情報誌「ぴあ」の創刊日)にようやく開業した。

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今回は施設内をじっくり見る時間もなかったが、かなりコンサート・ライブに特化した施設という印象。音響・照明・席配置・動線...どれを取ってもスポーツ観戦等に転用することはあまり考えていないように思えた。

 

筆者が横浜慣れしてないこともあるのだが、あのあたりは最寄り駅が多くて誘導が大変そうだなとも感じた。今度は有休取って周辺を散策してみたい。

 

 

 

さて、今回のツアーは昨年の「LIVE(on the)SEAT」とは異なり、立って楽しむことが許された。声さえ出さなければ。

座って見るのもあれはあれでかなり好きだったのだが、やはり立って見ることに慣れているからか安心感や高揚感が強かった。

それより前後左右が空席になっていることの快適さを完璧に覚えてしまってやばい。もちろん運営のことを考えればフル動員が理想に決まっているのだけど、すぐ隣に人がいる世界線からとっくに抜け出てしまった。

 

この年齢になってようやく思う、椅子があってその上立って見られるというのはなんとありがたいことか、と。筆者この日仕事がギリギリでスーツで参加したのだが(本当はプライベートと分けたいのでライブ会場では指定席でもスーツ等仕事着では入らないようにしていた)、なんとか浮いていなかったと思う(思いたい)。仕事帰りにふらっと寄れたのはちょっと嬉しくも誇らしくもあった。

 

 

筆者はこの日アリーナ下手前方の座席。

館内アナウンスとVINTAGE ROCK若林さんからの案内を経て、いよいよライブスタート。

 

"絵の具"で入場する当たり前の光景も本当に恋しかった。歓声は上げられないが、会場にいる人々の期待が手振りや拍手、空気感で伝わってくる。

 

いかにも「"Phantom Joke"やります!」なキーのセッションから斎藤さんがフレーズ歌って"Phantom Joke"。セッションとよく組み合わせてるイメージだけど付けやすいのかな...後述するがこの曲を際立たせたい意図もあると思う。それにしてもいきなりこれは頭爆発する。

 

続けて"オリオンをなぞる"。普段も好きな歌詞たちがより一層心に響く。ボーカル的な意味で配信のとき注目されていた"Phantom Joke"の直後なのに、普通に歌っててシンプルに凄いなと思った。サビ前、観客が歌っていないからこそ聴こえるリズム隊の歌声が良きかな。

 

次の一瞬、何が起こったかわからなかった。"meet the world time"!生きてた!「JET CO.」ほんと大好きなので日の目見て嬉しい。間奏のギターはスーパー斎藤タイムだった。アレンジで繰り出す変態なギターが本当に大好き。

 

貴雄ちゃんの4カウントで既に舞い上がってしまった"アトラクションがはじまる(they call it "NO.6")"。走り出す感じのわくわく感はこの曲特有だなと思う。同期がないけど派手な曲、いいよねえ。

 

斎藤さんの「Normalツアーへようこそ!最後までよろしくっ」から"メッセンジャーフロム全世界"。変な声出そうになった。「JET CO.」ツアーですか...?サビの貴雄ちゃんが楽しそうすぎてこちらまで嬉しそうになってしまった。直後"コーヒーカップシンドローム"に繋げるアルバム再現の流れに鳥肌。

 

"BUSTER DICE MISERY"のことすっかり忘れてた。世界が変わる前の2019年には聴いたはずなのに。「Dr.Izzy」の曲ってやっぱりヘンテコ多いけどかっこよさも兼ね備えてて好き。キメがちゃんと合うの、バンドとして少しもぶれてない証明のようでほんと最強。

 

"instant EGOIST"は無条件で楽しくなっちゃうし身体が動いてしまうね。田淵さんのあれで声出して沸けなかったのがやや寂しかったものの、楽しそうだったので万事良しとした。観客もそれぞれ楽しそうで嬉しかった。

 

そしてなぜかわからないけど"10% roll, 10% romance"でめちゃくちゃ泣いてしまった。なんでだろうね。いまだにわからないのだけど、思い入れが強いのもあるんだろうな。せっかくのライブ、終始楽しく過ごしたいなと思っていたけどやたら込み上げるものがあった。

 

 

斎藤「いやー、こんなにたくさんの人が集まってて、喋ってる人が一人もいないってすごくない...?公式のTwitterとかで当日券あります!って煽ってるツイートよく見たから、さっき袖の所で声が全く聞こえないしお客さん3、4人しかいないんじゃないか?って話してたけど出てきたらこんなにたくさん人がいて、それで誰も喋ってる人がいないって、UNISON SQUARE GARDENのお客さんは本当に人が出来てますね。ありがたいです」

鈴木「サイトウサンカッコイイー!キャーサイトウサーン!」

斎藤「あ、すいません私語厳禁なんで笑」

鈴木「サイトウサンガンバッテー!」

斎藤「ちょっと静かにして笑。...えっと何の話だっけ...あそうだ、"Normal"というツアーをまわらせてもらってるんだけど、ありがたいことにこうやって追加公演をやらせてもらってね。で、何が"Normal"か?って『ライブ出来る環境があるならやるっしょ』ってことなんだけど...このツアーもう一つ実は裏テーマみたいなものがあって、それが何かって言うと『"Phantom Joke"のシングルツアー』という位置付けもあったんですね。ずっとやれてなかったからね。シングルツアーってアルバムツアーと違ってやれる曲の選択肢が幅広いというか...アルバムだと全部で12曲とかだけど、シングルだとカップリングも含めて3曲くらいじゃないですか。だからもう誰も知らないような曲の中から引っ張ってきて引っ張ってきてここまで演奏してきたんですけど、ここからさらに皆さんを置いてけぼりにしたいと思いますので、最後までよろしくお願いします!」

 

 

"RUNNERS HIGH REPRISE"。この曲について書いたブログが最近やたら読まれてるなと思ってたらセトリに入ってたのか!!!自分の勘の鈍さにここまで感謝したことない。

ニゾンなんだけどユニゾンじゃないような、なんだろう、こういう曲だからというのもあるけど、3人とも物理的にピロウズに擬態できるの凄いなと改めて。クラップに関してはみんなでやりたいとか微塵も思わないので、わかる人だけで楽しもうね。

 

"キライ=キライ"。本当に「JET CO.」大贔屓ツアーだなと思うと同時に、いかに今までのツアーであまり演奏されてこなかったかがよくわかってしまう。そのうち田淵大先生の口笛も期待していいですか?

 

カップリングでも"ぼくたちのしっぱい"はシングルリリース後からライブで聴ける機会がまあまあ多くて嬉しい。2番の入り、斎藤さんが入り遅れたのかマイクの調子かわからないけどコーラス強めで、あれはあれでお洒落だった。

 

"流星のスコール"。イントロからとにかく照明が眩しくてなかなか御三方の姿を捉えづらかった。綺麗なんだけどね。見えづらかったからこそ(?)斎藤さんの低めのキーが映えてた。

 

セッションのキーであれ?また"Phantom Joke"?って思ってしまって(そんなわけない)、ちょっと考えちゃったけどオンドラムスタカオスズキでそんな思考吹っ飛んだ。本当にかっこいいよ...イカ状態の貴雄ちゃんのことは全然追ってないんだけど、ヒト状態の貴雄ちゃんはドラムの魅せ方やばくて痺れた...最高だよ...

ドラムソロとセッションから続いたのは"パンデミックサドンデス"でした。赤と青の照明がギラギラしててかっこいい。意外に久々だったのでは?

 

最新アルバム「Patrick Vegee」のツアーも今年予定されているが、アルバムから1曲"スロウカーヴは打てない(that made me crazy)"。《「直球です」》のところ、スタッカート強めで「チョッキューデス!」って感じだったのポップで良かった。アルバムツアー楽しみ。

 

貴雄ちゃんにヘッドホンが装着されたと思えば"君の瞳に恋してない"。この曲、田淵さんが本当にキラキラしててかっこいいんだよなあ...。間奏で田淵さんが斎藤さん側に寄っていって寝転んだと思えば、田淵さんの顔の真上に斎藤さんが立ってギターソロ。それどういうプレイ?サビでマイクに戻るとき、田淵さんの起き上がりの速さは流石。

 

ピンクのライティングで"桜のあと (all quartets lead to the?)"。この曲は本当に終盤が似合うし、明るさの中に終わっていく寂しさも纏っている。貴雄ちゃんの手数よ。

 

ラストに"mouth to mouse(sent you)"は意外だった。この曲は特定のバンドへ向けたものだけど、歌詞が今の状況にとても刺さるからまた新たな意味を持ってここにいるんだなと思えた。《妄想、ブルー、枕、オレンジ》で上から青、下からオレンジの照明が綺麗だった。その後ラベンダーっぽい色になって間奏はオレンジ、更に《さよならが聞きたいんじゃなくて...》のところで再び青に。作品を大切にしてくれるライティング、素晴らしかった。

 

 

アンコールがあったのも驚いた。

予定調和は苦手なんだけど、こんな当たり前も嬉しく感じる。

 

斎藤「普段は『会場の広さとか関係ねーぜ!』とか言ってるけど、やっぱ広い会場最高!笑」

貴雄「こいつ言いやがった、言いやがったよ」

斎藤「.....」

貴雄「反応されないとちょっと笑」

斎藤「あ、マスク着用してください」

貴雄「こっちは準備できてるんだけど笑。いいの?まだ(準備)やってるんでしょ?」

斎藤「ちょっと!俺にしか聞こえない音量で次の曲の合図出すのやめて!笑

緊急事態宣言も解除されましたがまだこんな状況ですし、皆さんにはとっとと帰ってもらいたいんで、1曲だけ!やって終わろうと思います」

 

我々が"さわれない歌"に心臓掴まれてることを完全に熟知されていて苦しい。特に語ることは無いです。はー、最高。

 

 

 

このツアーの何が"Normal"なのか、各自考えることはそれぞれあると思うけれど、個人的には「自分の生活にはロックバンドのライブが無くちゃいけない」ということを再認識させられたライブだったと強く感じている。彼らから強要してくるようなことはないのに、「なにライブ無くても平気なフリしてんの?」と突きつけられたような感覚で、全くその通りなのが悔しくも嬉しい。ライブがなくて平気なわけがない。

 

こんな世の中になってライブ等の音楽活動がなかなか出来ず、(内情はただの客である筆者にはわからないが)解散しなくてもよかったバンドが解散したり、抜けなくてもよかったメンバーが脱退したり、なんだか寂しいニュースが多い。誰かがどうにか出来ることではないのだろうけれど、バンドは生モノであるとより強く感じている。

 

加えて我々も永遠ではない。今をちゃんと捕まえに行かなくては。

 

 

 

UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2021「Normal」追加公演(3/23)セットリスト

1.セッション〜Phantom Joke
2.オリオンをなぞる
3.meet the world time
4.アトラクションがはじまる(they call it "NO.6")
5.メッセンジャーフロム全世界
6.コーヒーカップシンドローム
7.BUSTER DICE MISERY
8.instant EGOIST
9.10% roll, 10% romance
10.RUNNERS HIGH REPRISE
11.キライ=キライ
12.ぼくたちのしっぱい
13.流星のスコール
14.ドラムソロ〜セッション〜パンデミックサドンデス
15.スロウカーヴは打てない (that made me crazy)
16.君の瞳に恋してない
17.桜のあと(all quartets lead to the?)
18.mouth to mouse(sent you)

en.さわれない歌

 

 

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