鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

Thank you, ROCK BANDS! 〜UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Album〜

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東京オリンピックパラリンピック開幕まであと1年となった7/24、とあるロックバンドのアニバーサリー。

 

 

結成15年

人で言うと中3」とはボーカル談。

 

 

彼らは所謂「国民的ロックバンド」ではないし、名の知れた事務所・レーベルに所属していながらも真ん中を通ってきたアーティストではない。

だからといって奇を衒い続けてきたのかと言えばそれも違う。それだけで15年走り抜けられるほど界隈は甘くない。

 

 

いろんな要因が積み重なってここまでのロックバンドになったことは間違いないのだが、筆者は特に2つのことに注目している。

 

 

1つはスタンスの一貫性。最近ベースの彼が各所で口にしているけれど、「昔から言ってること・やってること変わってないな」という感覚は非常に大切だと思う。月日が経ってバンドが大きく成長していてもファンが長く応援出来るのは、根底の核となる部分を変わらず持っているからである。

 

 

もう1つは「同業者に愛されるバンド」であること。音楽を生業にしている人たちから支持を受けるというのは簡単なようで難しいのではないかと考えている。

というのも、この「愛される」というのはもちろん人間としての部分も含まれるが、基本的にはそのバンドの音楽を愛してもらえているかどうかが大事になってくる。だからシンプルに仲が良いとかではなくて、彼らの作った音楽或いは演奏に感銘を受けているアーティストがどれだけいるのか、という話だ。

 

 

そしてその答えがこの作品に詰まっている。

 

 

本当に愛に溢れた作品だと思う。各曲については後ほど詳述するものとして、これだけ愛に富んだトリビュートがかつて存在しただろうか。いやすることにはするんだろうけど、それくらい彼らの音楽が愛されていることが改めてよくわかった。

 

 

恐らくいろんな理由でオファーが行かなかったり、断らざるを得ない状況であったアーティストもいるのだろう。敬意を持って断った人たちもいるかもしれない。

個人的にはフレデリックSCOOBIE DOフジファブリックTRICERATOPSにも参加して頂きたかったのだが、アルバム制作やツアーや(そもそも活休状態だったり)本業についてのあれこれが忙しければそれは無理な話だ。

そういった意味でも今回参加した12組には愛すべきロックバンドへの愛情表現が託されていると言っても良い。

 

 

その12組がロックバンドの楽曲にどんな息を吹き込んだのか、早速見ていきたい。

 

 

 

 

 

 

トリビュート

今回のトリビュートとして1つ特徴的なのが、「本家」と比較できる聴き比べ盤が付いていることである。しかも律儀にライブ音源ときた(初回盤にはこの模様を収めた映像も!)。

 

これまでもトリビュートというのは購入したことがあるが、参加アーティスト目当てで聴き進めたときに「本家」への興味が高まる瞬間が必ずと言っていいほどある。今はレンタルもサブスクもあるから見つける環境は整っているけれど、正直な所その過程を「楽しい」と思うか「面倒だ」と感じるかはリスナーによると思う。

 

「本家」への好奇心をその一手間のせいで断たれるのは非常に惜しい。だからこそ今回の聴き比べ盤というのは新規さんにとっては導入材になるし、贔屓さんにも嬉しい試みである。

聴き比べのプレイリストでも作ってプラスアルファの楽しみ方が出来そうですね。

 

 

 

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5月に対バンを終えたばかりのソラさん。

ピアノを使ったアレンジはもちろんのこと、ソラさんの声を使った遊び方が可愛くて良い。特に間奏のキメのところ。こういうドキッとする発想できる方、素敵だなあ。この曲ライブだとかなりハチャメチャなのにキマってるという印象があって、大らかで穏やかなのに大胆でお茶目なソラさんにぴったりの楽曲。

 

◼ここが好き

散りばめられた"絵の具"。一聴ではイントロ部分しか気付けなかったけど実は曲中たくさん入ってた。愛。

 

 

 

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2017年、Shoegazer Speaker in Swanky Streetというピロウズ企画の対バンがあったことは記憶に新しい。

このときは頭文字がS.Sになっている両者の曲を並べたのかなと勝手に思っていたのだけど、さわおさんお気に入りの曲だったんですね。

イントロがなんだかBOØWYっぽい。ちゃんと聴いたら違ったけど一瞬"マリオネット"始まったかと思った。

改めて聴くと本当にいい歌詞。好きなアーティストが好きなアーティストの楽曲をカバーするってこんなに幸せなことなんだなあ。

 

◼ここが好き

「あんたのバランスなんて聞いてない そうだろう」の歌詞替えを始めとしたさわお節。ラスサビ前の二拍。増すシューゲイズ感。

そもそも「ピロウズによるカバー」という事実が無理。

 

 

 

 

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長く続けるバンド同士。先日は6番勝負お疲れ様でした。好きな2組による対バンの高揚感はいつまで経っても慣れませんね。

この曲を初めてライブで聴いたとき、「これ9mmにカバーして欲しいな」などとぼんやり考えたのは覚えている。恵比寿でボーカルが言っていた通り完璧に9mmの曲としてリアレンジされていて最高。どのバンドもそうだけど、それぞれのパートの手癖によって「9mmらしさ」が構築されているんだなと再認識しました。

 

◼ここが好き

容赦ない9mmっぽさの詰め合わせ。《炊事 洗濯 友達》のメロ替え。全員だけど個人的には滝さんパート全部。これ以上ない選曲。

 

 

 

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お互いにとって欠かせない存在。

fun time HOLIDAY6の浜松窓枠公演でこのカバーを披露したのは記憶に新しい。afocとの関係性がフィーチャーされてきたのは割とここ最近のような気がするけど(以前から知っている人達は間違いなく知っているが)、この縁の濃さがカバーに顕著にあらわれている。

トリビュートのために聴き込んだというよりも、元々よく知ってる楽曲をafocのアレンジに落とし込んだという方が適切だと思う。それくらい迷いがない。

現体制のワンマンにはまだ行く勇気がないからわからないけどテツのコーラス力ってどんな感じですかね(恐る恐る)

 

◼ここが好き

佐々木さんのファンなら聴く前から想像出来ていたであろう「佐々木的なメロディー」。落ちサビの武道館バージョンはさすが。

 

 

 

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SK's Sessionでもセッションしていたこの楽曲を更にアレンジ...というよりremix。《田淵さんに言っといて》は顕在。そして美声。

ラッパーとしての滑舌の良さ(歌詞めちゃくちゃ聴き取りやすくてびっくり)、アレンジ力、そしてジャンルの異なる先輩への敬意。日高くんって「策士」「挑戦者」の印象が強いんだけど、人懐っこい側面もあって人間味の濃いアーティストだなあと思う。

 

◼ここが好き

愛校心も兼ね備えた大胆な歌詞投入。これ、ロックバンドと日高くん自身、両者へのメッセージなのかな。どちらも王道とは言い難いのに、自分の好きな音楽を貫いているがゆえのクールさを持つのは重要な共通点。

無味無臭 無難で優秀 がありがたがられるこの風習

都の西北がルーツ 15年越しに今俺がルール 

邪道だなんだ言いなさんな 真ん中なんかハナから興味ないんだ

変化球も続けりゃスタンダードって事さ見りゃわかんだろ?

耳コピのため正確性は保証しかねます

 

 

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盟友からのラブレター。"ライドオンタイム"じゃなかったけどこの曲をカバーしてくれて本当に嬉しい。いつぞやの大阪対バン2daysの記事書いたつもりになってたけどなかった。そろそろまたやってほしいな...

ロックサウンドにバイオリンが加わるだけで「ああ、BIGMAMAだな」と思えるのは本当にすごいな。真緒ちゃんの功績です。リアドのドラムも特徴的。

金井くんとかっきーで歌い分けしてるあたりもニヤニヤ。二人ともリズムとメロディをMAMA化するのが上手すぎる。

 

◼ここが好き

歌詞追加してきたの本当に最高。適当なこと言って違ったら申し訳ないんだけど金井くん感。

雨曇りのち憂鬱も晴れ渡り
醒めない夢の戯言だと
誰が笑えど 構わない怯まない
ヨロコビによく似た微笑みの原理です

耳コピのため正確性は保証しかねます

 

 

 

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2016年の印象Eでこの曲をカバーしてくれたとき、敗北感と畏怖の念と高揚感を強烈に感じたことを昨日の事のように鮮明に覚えている。あのロックバンドの対バンではファンとしての贔屓目もあって「相手のバンドも最高だけどやっぱり我々の好きなロックバンドは誰がなんと言おうと絶対にかっこいいわ」と思っていたのだけど、あの日は初めて負けた感覚が強くあった。いや、そもそもこちら側の問題ではないし勝負でもないんだけどさ。めちゃくちゃ強いんだパスピエは。

 

◼ここが好き

アレンジ全て。踊り散らしてるなー。

 

 

 

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椎名林檎トリビュートアルバム「アダムとイヴの林檎」において"NIPPON"を歌ったLiSAちゃん。あまりいじらずとも歌唱力で仕上げられるのは彼女の実力だからなせる技かもしれない。

今回も例に漏れずストレートなアレンジだけど、よりアニソン感が増した印象。本家はロックとアニソンの絶妙なラインを攻めていたんだなと今更気付く。

LiSAちゃんに関して「彼女はアニソン歌手じゃなくてロックヒロインだから間違えないで」という評をよく目にするんだけど、それはアニソン歌手にめちゃくちゃ失礼では。彼女の声は一瞬でアニソンに出来る魔法をかけられるんだから、間違いなく超一流のアニソン歌手だ。

 

◼ここが好き

《ヴィーナスサステイン》を「サスティン」と発音するところ、ドキッとして好き。意図ありなのかどうか知りたい。最後のラララは"best day, best way"のオマージュ。先輩愛。

 

 

 

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本トリビュート唯一のインスト。リリースまでインストだと思ってなかったから勝手にボーカル予想してしまった。

スカパラの愛の重さが全面に出てる。ここまでの大物アーティストに気に入られるって本当にすごいなあと改めて。そして谷中さんに愛されすぎてる我らがボーカル、後輩力の高さが半端じゃない。

"Under the Sea"のようなマリンテイスト溢れるアレンジはかなり意外性があって可愛い。スカパラとの対バンやイベントには一度も参加していないのだけど、このカバーに関しては是非トリビュートライブで体験したい...

 

◼ここが好き

絶妙なタイミングのクラップ。後半の《All quartets lead, lead to…?say la-la-la…》の歌入り。

 

 

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フラッドとはまた違う角度で深い関係のクリープ。語るのも野暮なので対バンの記録置いておきます。

アレンジ以前に楽曲のテンションがクリープに合いすぎてて、クリープの曲かと錯覚してしまうほど。歌う人が違うとこんなに曲が変わるものなのかと両ボーカルに敬意。

この曲を選んでくれたことで聴き比べ盤にライブ音源が入るというリスナー視点の嬉しさも。

 

◼ここが好き

間奏に"シュガー〜"のギターリフを織り込んでいる。"イト"を書くときにあの曲の多幸感を参考にしたみたいな話をどこかで耳にした気が。

 

 

 

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実は今回リリース日まで一切試聴しないというのを心掛けていて、代わりに脳内で各アーティストがどんなアレンジを仕掛けてくるのか予想しまくってたんだけど、正直な所バクホンのシャンデリア・ワルツだけは全く想像できなかった。むしろ何故彼らはこれを選んだのか、もっと得意そうな曲他にあるでしょうと不思議に思ってしまったくらいだ。

蓋を開けたらまあとても良い。本家ってちょっと切なさも含んでると思うんだけど、男くさいバクホンが歌うと爽やかで前向きな感じになるのがまた面白い。不思議な化学反応を目の当たりにした感覚です。

 

◼ここが好き

《曖昧暫定Aトレンド〜》一体のコードのいじり方。マサーシーの歌い方全般。岡峰光舟は神(言いたいだけ)。

 

 

 

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「"シュガーソングとビターステップ"を誰がやるか」というのは、このトリビュートにおいて重要なトピックのひとつであったように思います。

知名度の高さゆえに敬遠する人も多いのかなと思ってはいたが、3人がどんちゃんに直談したとのこと。この辺りの詳しい話はブックレットにて。

ブログ書き始める前にどうしてもこれだけ言いたくてツイートしちゃったけど、ほぼ打ち込みなのに謎の色気がある。ポップなのにエロい。どうしてなんだ...

大団円に相応しい、愛に溢れた大人のカバーをありがとうございます。

 

◼ここが好き

Bメロのキメ。《祭囃子》を「まつりはやし」と読むところ。イントロギターリフをラララ、間奏をダダッダダーダーダで表現しようと思う人いる?天才かな

 

 

 

 

クリエイター作品

彼らを愛しているのは音楽を生業にしている方々だけじゃない。15年間の活動を彩ってきたクリエイター陣からのプレゼントもパッケージされている。

ラインナップは以下の通り。

 

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本当は1作品ずつ書きたかったんだけどクリエイター作品に関してはとにかく「手に取ってじっくり見てください」としか言えない。あとは「フカツマサカズ氏やりおったな」とか。

 

業種の違う人たちからこんなに祝ってもらえるロックバンドなんて本当に少ない。3人と彼らの音楽が多方面で愛されている何よりの証明である。

 

 

 

終わりに

アーティストの手癖を耳で感じられるのがトリビュートの醍醐味。この人こういう音の出し方するよな、このアレンジあの曲と似てる、この弾き方・叩き方は絶対あの人...いろんな聴き方が出来て何度も楽しめると思います。

 

愛の詰まったパッケージ。

大好きなロックバンドがいろんな人に愛されているということが、ただのリスナーでもこんなに嬉しいなんて。

 

これからもいろんなアーティストと関わって素敵な音を鳴らして欲しいです。

 

 

 

最後に

UNISON SQUARE GARDEN、結成15周年おめでとうございます!

 

 

 

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