鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

sumika - Familia

※この記事はsumikaのアルバム「Familia」のネタバレを含みます。購入されてからか、購入しないと決めてからお読みください。いつもありがとうございます。

 

 

 

 

7/12、sumika「Familia」をリリースした。4枚のミニアルバムを経て初のフルアルバムである。

 

 

 

Familia。家族。7年前から1stにつけるならこれ!と決めていたというこのタイトル。

Familyじゃないの?と思う方もいると思いますが、スペイン語ではFamiliaですね。かの有名なサグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)と同じです。イタリア語もFamiliaだったかな。ちょっと自信が無いですすみません。結局何語だと思ってつけたんだろうねこれ。

 

一つの作品を通して聴いてもらうことに強いこだわりを持ち、これまでフルアルバムを作らずにミニアルバムを続けてリリースしてきたsumika

 

彼らのこれまでをまとめながら、蔦谷好位置山口寛雄、東出真緒(BIGMAMA)、桑迫陽一、ハヤシベトモノリ(Plus-Tech Squeeze Box)、河原太朗(ampel)、田口恵人(LUCKY TAPES)、鈴木正人(LITTLE CREATURES)といった豪華プロデューサー・ミュージシャン陣を迎え、新しいsumikaを放出していく作品に仕上がった。

 

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タワーレコード渋谷店、フラゲ日に訪れたら展開はこんな感じでした。

 

 

 

まずは全14曲を。知ってる知識だけで書いたので間違いもあると思いますが大目に見てやってください。事実確認をしていないので訂正してくださらなくて大丈夫です。

 

 


01. Answer

蔦谷好位置プロデュースの楽曲。およそ80秒。

最初のアカペラ部分からもうワクワクが止まらない。1曲目に相応しすぎて震える。

この曲、今作の中では1番最後に出来たんだそう。歌詞も蔦谷さんに会ってから書き直したとかなんとか。

しかしやはり蔦谷さんのプロデュース力たるや。sumikaも知らないようなsumikaの良さを根こそぎ引っ張り出しておきながら、とんと背中を押すだけの感覚。蔦谷カラーはもうバリバリに出てるけど、「蔦谷好位置の曲」にしちゃわないのが蔦谷さんのいいところ。

「なるべく最短で、これまでの音楽人生の答えを出し切る」というコンセプト。今までのアーティストとは逆の発想だなあ。

ベースがすってぃーなの本当にぴったり。こじつけだけど、sumikaと米津玄師はまとめてfun time ACCIDENT3に呼ばれてください。

 


02. 春風

価格設定自由という販売方法で話題を集めた最新シングル「Dress Farm #3」の1曲目。大々的な企画に負けない曲の繊細さと強さが際立つ。

ロックでもポップでも勝負できるメロコアという印象。片岡さんもこの曲が出来上がって「闘える!」と思ったそう。おがりんが入ってから鍵盤ベースのポップな名曲をいくつも作り出してきたが、この曲はある意味原点回帰とも言えるギター主導。2曲目に組み込まれたことでこのあたりのプライドや主張を垣間見ることができる。

サビ終わりから刻まれるビートが爽快感を生み出している。

 


03. Lovers

ライブの定番。

単独で聴けばアルバム2曲目あたりに入りそうだなと思っちゃうこの曲がこの位置に入った。

先ほども少し触れたが、おがりん加入後sumikaはポップに振れるようになり、それがリスナーからもポジティブな反応があった。この"Lovers"や"MAGIC"はその良い例だと思う。ただsumikaのイメージを"ふっかつのじゅもん"や"雨天決行"だけにおいたリスナーには必ずしもいい進歩には捉えられなかったようだ。

そこでこの曲順である。sumikaの根底が変わったわけではなくて、選択肢が増えたのだと示せるように。いいなと思ったのは、ポップまっしぐらにならないような配置であったことに少しだけ安心したからかもしれない。

 

 

04.KOKYU

ファンクもできるんですね皆さん。

片岡さんが体調を壊したときにヨガにハマり、ヨガの思考法と呼吸法を反映した一曲。セミナーみたいな曲」だって。

この曲を聴いて思ったのは、例えばだけど"くの字"に折れ曲がったものがあるとする。「これ投げてみたら帰ってくるかな?」とメンバーの1人が提案する。物体に角度をつけたり模様を描いたりする。投げてみる。戻ってきた。じゃあこれをブーメランと名付けよう、みたいな。

何が言いたいかというとものすごく「発見家」で「発明家」なバンドだなあと思うんですね。トライの幅が広い。

そしてバイオリンが入ってると思えばまさかのBIGMAMA真緒ちゃん...!素人耳なので聴いただけでは真緒ちゃんとはわからなくて、でもバイオリン...?と思ってたら彼女でしたね。曲のアクセントになってる!

ファンクって言い切っちゃったけど、正確にいうとファンク風にもできるっていうまたこの天才感。フルアルバムだからこそ出せた曲。

 


05. Someday

来ました梅酒ソング。どう考えても自宅で梅酒ロックと手作りおつまみで迎え入れたい一曲。

お昼でいうと喫茶店かな。渋谷の少しはずれにある古めのお店を彼氏と二人で訪れる。入口で「カランカラン」ってなるドアを開けて、わたしはドリップコーヒー、彼はラテ。ここ重要。

席に着く。お互い少しだけ話したと思えばそれぞれ別の本を読み出す。マスターが運んでくれた目の前のマグカップにも気付かない。

おもむろに本を閉じる。二人同時にカップに手をつける。ここで彼が一言。

「冷めちゃったね」

これでいい。「猫舌だから別にいいんだけど」って強がるわたしに「ハイハイ」って笑ってくれれば120点。

 


06. アネモネ

花言葉「儚い恋」。ファンならお馴染みのトピック(片岡健太ギャルには耳の痛い話かもしれない)だろうが、片岡さんの「高校生の頃自分がコピバンやってた時代にオリジナル曲やってたバンドに奪われた彼女」 の話である。宣言通りの「フラれたあとに振り向かせた編」、やってまいりました。何人と付き合っても基準になってしまうという元カノ、どんな人なのか気になる。

意外にこの曲、アルバムのリードチューンというかキラーチューンのような役割も果たしているのでは。切な爽やかさがMAX。落ち着いているようで感情はかなり膨らんでいる。

わたしも鎌倉の134号線走らせながら聴きたいな。

 


07. ここから見える景色

ウエディングシンガー業の経験があるという片岡さん。人生の喜怒哀楽のピークに関わることで自身も成長できるのではないかと思ったそう。片岡さん結構なんでもやってるんですね。そりゃ音楽の幅も広いわけだ。sumikaはソングライターが3人もいるからバンドとして持つジャンルが本当に多岐に渡るなあと思う。

間奏のピアノがすごく綺麗で印象に残った。

ストリングスアレンジが林田さんというの本当に納得です。

アコギベースで仕上げてるから弾き語りでもいけるんじゃないかな。それも狙いなのではと思うので、いつか聴けるかなとこっそり願いながら。

 


08. ピカソからの宅急便(Instrumental)

SEで使用している楽曲の作曲者ハヤシベトモノリとの共作。

インストって結構飛ばす人多いと思うんですけど、この曲に関しては飛ばすのがあまりに勿体無さ過ぎる。最近同じような感想持ったなと思って思い返してたら、「Fabula Fibula」でした。詳しくはリンク貼るので読んでみてください。書いてなかったらすみません。

 

溢れ出る遊園地感。この盛り上がりを序章に携えて、"MAGIC"へと繋いでいく。

同じインストでも単にメンバーの技量を見せつけるトラックだと胸やけしちゃうんですよね。世界観にそっと引きずり込むための一曲、なかなか効果的で痺れる。

 

宅急便で思い出したのだけど、魔女に仕える猫の姿した精霊のことを「familiar spirit」とか「familiar」とか言いますね。全然関係ないけど。

 

 


09. MAGIC

こちらもライブ定番曲。

単体でもはじけるような多幸感で溢れているのに、インストからの高まりでみずみずしさが頂点。身体が動かないわけないじゃない。

 《さあ始めるよ》で転調するところ、初めて聴いたとき本当に鳥肌たった。

どんなに嫌なことがあっても、疲れきっていても、何もかもやめたくなっても、魔法をかけてくれる曲ってあるんだなあと再認識した一曲。

 


10. アイデンティティ

おがりん曲は本当に素直で、彼のパーソナリティが染み出ているなあ。

ギターリフが印象的。sumika流応援歌。

何かテレビでもタイアップつけてもらいたいくらい。ドラマか、CMか、アニメでもいい。ってくらいの圧倒的な疾走感。

歌詞が本当にいいなあ。誰しもあと1歩の勇気が欲しいときってあるよね。

trailerに渋谷がうつってて驚いた。あんなところにsumika普通にいるんだ。

 


11. Summer Vacation

冒頭の「Summer Vacation」、MV限定仕様かと思ってたらちゃんと収録されていて嬉しい。

MVに出てる菅沼ゆりちゃん大好きです。「チュートリアルの徳ダネ福キタル」を観たことある方にはお馴染みでしょう。

最近のシティポップブームを意識してるのかしら。Suchmosの爆発的な売れ方(Suchmosをシティポップに分類しきってしまうのは少し癪だけど)しかり、急上昇のACCしかり、2017年のJamiroquaiしかり。

ゆったりしたBPMで大人の雰囲気を纏ったジャジーなポップ。ひとつひとつの音符も長くもたせている。こういう曲にはやはり鍵盤が活きる。

ここまで幅が広いと一つのバンドだとは思えなくなってくる。本当になんでもできるんですね。

 


12. まいった

インタビューで意外に触れられないなあと思っていたけど、こんないじらしい曲だったなんて。でもこれきっと聞きづらいよね。聴いてる方が恥ずかしくなるくらいの可愛さ。

思い出すのが《赤い鼻の事》っていうのが妙にリアル。これ確か作詞は隼之介さんだったはず。可愛い。

空気感としては優しいのに、もどかしくてこちらから声掛けたくなるくらい。

「君だけが頭の中から消えないみたい」

 

すごく個人的な感想だけど、back numberを感じる。伝えたら同意してくれた人はいたので安心して書く。

 


13. 「伝言歌」

これもライブ定番中の定番と言っていいでしょう。8曲目くらいかなと思っていたけれど大正解だと思う。1枚を通して聴くというコンセプトで14曲構成なら、最後の山は結構がっちり固めなきゃだもんね。そもそもアルバムに入ったことがすごく嬉しいけれど。

この曲の裏話がドラマチックというロマンチックというか...鳥肌立ちました。

愛に溢れたエピローグにぴったりの一曲。

ちなみにDVD観た人、伝言板になってるのはわざとですか...?

 


14. Door

"「伝言歌」"で締めたと思いきやふたたびドアを開けだすsumikaちゃん。どこまでも前向きで積極的。

フォークっぽい要素が入っててこれもまた新鮮。アルバムの締めという落ち着きよりも、送り出されるような感覚。Familia - 家族という住処から、「いってらっしゃい」「いってきます」が聴こえてくるような、あたたかさも前向きさも兼ね備えた楽曲。

いつだって楽しいことの後は現実が待っている。この曲はそっと背中を押してくれる。つらくなったらまた"Answer"に戻ってくればいいじゃない、ってね。

 

 

 

いやーまいった。別に上手いこと言おうとしてるわけじゃなくて、本当にまいりました。

1枚通して聴いてほしいという彼らの願いが上手く反映されたアルバムだなあと思いました。

主観で書いてるので下手なこと言ってたらごめんなさいね。

 

 

通して聴いた感想としては、徹底的に人たらしな音楽を作るバンドだなあということ。キメすぎてない、人間らしさ全開だけど素直でキャッチーで、こんなの誰もが好きになっちゃうじゃない、みたいな。この点においては現在の星野源がダントツの爆走状態だと思っていたけれど、新たなるたらしが見つかりました。褒めてます。

 

個人的にはポップが大好きなのでポップに強いバンドが出てきたのはすごく嬉しいことだけど、彼らのさらに好きなところはその最大の武器に頼りすぎていないところ。

なんでもやる。なんでもできちゃう。でもやっぱり彼らの音楽。不思議だなあ。

 

 

どうかライブ当たりますように。

 

 

 

 

sumika 「Familia」
2017.07.12 Released

▪️CD
01. Answer
02. 春風
03. Lovers
04. KOKYU
05. Someday
06. アネモネ
07. ここから見える景色
08. ピカソからの宅急便(Instrumental)
09. MAGIC
10. アイデンティティ
11. Summer Vacation
12. まいった
13. 「伝言歌」
14. Door


▪️初回限定盤DVD
02/25 sumika『SALLY e.p』Release Tour Final
@Zepp DiverCity TOKYO


01. Lovers
02. ソーダ
03. カルチャーショッカー
04. MAGIC
05. 1.2.3..4.5.6
06. sara
07. まいった
08. 知らない誰か
09. リグレット
10. リフレイン
11. グライダースライダー
12. チェスターコパーポット
13. マイリッチサマーブルース
14. ふっかつのじゅもん
15. オレンジ
en1. 雨天決行
en2. 「伝言歌」

・オーディオコメンタリー収録

 

http://sumika.info/familia/

 

 

 

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