鯉の滝登り

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ポルノグラフィティ - BUTTERFLY EFFECT

10/25、ポルノグラフィティが11枚目のアルバム「BUTTERFLY EFFECT」をリリースした。「バタフライ・エフェクト」とは蝶の羽ばたきが巡り巡ってまた違う場所で嵐を引き起こすことを指す表現だ。「海から雲が生まれ雨になり、その雨粒が集まって川になってまた海に流れる。自分たちは音楽という大きな海に影響を受けて楽曲を作ってきて、自分たちの楽曲は小さな1粒の雨でしかないかもしれないが、それを絶えず生み出し降らせることで、また次の世代の楽曲の一助となってほしい」という期待を込めたそうだ。

 

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"アポロ"での鮮烈なメジャーデビューから19年を経た彼ら。思えば自分が最初からほとんどリリース日に作品を手に入れてきたバンドはポルノとBUMP OF CHICKENだけだなあと思い返す。

 

 

前作RHINOCEROSから2年と2ヶ月。この月日も非常に躍動的な期間となった。通常のツアーに加えて2016年の9月には横浜スタジアム「横浜ロマンスポルノ'16~THE WAY~」を開催。約6万人を動員した。その間にもアニメや報道番組、スポーツなど幅広いタイアップを獲得し、2017年3月には台湾で初のワンマンライブPORNOGRAFFITTI 色情塗鴉 Special Live in Taiwan」の開催に至った(後述するが、このときのライブ音源が初回限定盤のDisc2に収録されているのでぜひチェックしていただきたい。圧倒的な歌唱力と爆発的に安定感のあるライブの雰囲気が楽しめるだろう)。5月にはスガシカオデビュー20周年の祭典「スガフェス!」に駆け付け、圧倒的なアクトを見せつけた。

 

今年の夏はフェスへも乗り込んだ。ROCK IN JAPAN FESTIVALSWEET LOVE SHOWERには初出演、MONSTER baSHへは3年ぶりの出演となった。晴一さんはTwitterでセットリストを模索していて少し不安も垣間見えたが、ロッキンのGRASS STAGEを沸かせる様子を見ると別格だなと思わざるをえない。

 

9月には晴一さんが自身2作目となる小説「ルールズ」を発表し、その翌月にこの一連のテンポの良い活動を象徴するアルバムが出来上がった。

 

 

友人であるレンタルCDショップ店員さんはポルノグラフィティをJ-ROCKに入れようかJ-POPに入れようかいつも悩む」と話していた。それでいい。ポルノグラフィティはそういうバンドだ。そして今回のアルバムにもそれがそのまま反映されていて、どの部分をとっても「ポルノグラフィティのアルバムだ」と感じさせるものに仕上がっている。20周年を目前に控えたバンドの、作風の広さと技術の高さを見せつけられる1枚である。

 

 

 


アルバムはアニメ僕のヒーローアカデミアのオープニングテーマとして起用された43rdシングル"THE DAY"を皮切りに展開する。9作連続でのオリコン週間シングルランキングTOP5入りとなったこの曲。晴一さん曰く、ライブを"THE DAY"で始めると気持ちが乗ってくるそうで、これを意識してアルバムでもトップバッターに持ってきたとのこと。

 

"Working men blues"。月1の配信番組「しまなみテレビ」において、アルバムリリース前のちょっと出しに選ばれたのがこの曲だった。

フラゲ日には新橋で働く人々に向けてゲリラライブを行った。歌入れまでしてから2人の中でイメージがすごく変わった曲だと語っていた。 

 

"君の愛読書がケルアックだった件"。爽やかさを意識して書かれた楽曲。架空のキラキラ映画へのタイアップの話があったら、という想定で歌詞を書いたそう。くすぐったいほどの爽やかさが嬉しい。

 

"I believe"は昭仁バラード。英語の入れ方がおしゃれ。このあたりでアルバムの流れを緩くするのめっちゃポルノグラフィティ。昭仁さんが「今回のアルバムは歌に自信がある」みたいなことを言ってたけど、これを聴いて納得(いつも上手いけど)。

 

"LiAR"はこれぞミスターポルノグラフィティというようなラテン系の楽曲。"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"との両A面となった44thシングルで、日本テレビ系番組「スッキリ!!」のタイアップ。自分たちでもポルノにおけるラテン曲を再評価していく流れで出来た曲だと晴一さんが話していた。

ライブで初披露されたときは"liar"表記だった。"Liar Liar"という案もあったらしいがB'zとかぶっているという理由で却下。小文字のiをそのままにしたのは、本人としては「爪痕を残した」という意識があるらしい。

 

"Fade away"は仮タイトルが"dark song"。アルバムの中では暗さが際立ち非常に印象的なナンバーだが、「こういう曲でシングルを出したらどうか」という話まであったという。これをシングルカットするのは結構チャレンジングだなあ、かっこいいけど。

 

久々のクリスマスソングは昭仁さん曲、"クリスマスのHide&Seek"。ポルノのクリスマスソングと言えば入社1年目の人を主人公にした"Hard days, Holy Night"だけど、晴一さんは今回の曲が定番になることも期待しているようだ。

 

"MICROWAVE"電子レンジ。
"Part time love affair"の音作りでやったことが気持ちよかったと語る晴一さん。トオミさんにアレンジをたのんでシティな感じにしてもらった作ってもらったそう。

 

"夜間飛行"康兵さんのアレンジ。アレンジャーの得意分野を理解し、理論に則り生楽器で楽曲を構築していくピアニスト康兵さんの特徴を最大限に引き出した。曲としての自然な美しさにうっとりする。今までのアルバムだったらもっと後ろに入ってそうなのにな。

 

約11年ぶりとなった両A面シングルより、"真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ"。昭仁さん、歌うのがすごくしんどいらしく、「ライブのセットリストに入れるのを嫌がってる感」があるらしい(晴一談)。嫌とは言わないながらも積極的にはいかない雰囲気だと。楽曲がすごくかっこいいからこそ、超えるハードルも高い。

 

"170828−29"2017年8月28日にこの曲の歌詞を書いたら、29日に北朝鮮のミサイルが初めて北海道の上を超えていったという実体験に基づくタイトル。「書いてから飛んだ」、この順番が重要。

こういった重みがあり世間を反映したテーマもこれからも落とし込んで行きたいと意気込んでいた。若かりし頃に同じことが起きても彼は書かなかっただろうな。19年のすごさを改めて感じる。


"Montage"昭仁さんがガンズ・アンド・ローゼス好きで歌詞に曲名を潜ませるというのはファンの中ではよく知られていることだけど、今作には"Don't cry"が入っていてにやけた。思い返すと"東京ランドスケープ"には"It's so easy!!"、"Let's go to the answer"には"Welcome to the jungle"などがあったが、ここまで表向きの曲に入っているのはなかなか珍しい気もする。

"スパイス"。いつものアルバムならハードめな曲の前後に緩和剤として入っているイメージの曲。ステージでは激しいアクトを見せつける彼らだけど、カントリーのジャンルもちゃんとこなせるのが本当にすごい。晴一さんとしては「ほっとする」曲だそうだ。

 

そしてラスト、"キング&クイーン"

45thシングル「キング&クイーン/Montage」として2作連続、通算4度目の両A面リリースとなった。グラチャンバレー2017のテーマ曲にもなり、2017年のポルノといえばこの曲!という印象。

ACEかJOKERかと考えると絶対ACEに収録されるなという感じ。この曲本当に好きすぎて、これで締めてくれるアルバムを+20%くらい愛せる。聴くたび目の奥がツンとなる。

ポルノおなじみの定義づけが入ってます。今回は「強さとは」。

 

 

 

安定したポルノグラフィティのアルバムだったけど今回は曲順があまりにも良すぎてつらい。アルバムをその順番で聴きたい人間なので、凝った曲順は嬉しすぎる。

 

 

 

そして先述したように初回生産限定盤にはDisc2として今年の3月に台湾で行ったライブ音源が収録されている。とりあえず聴いてほしい。ここまでクオリティの高すぎるライブ音源はあまりない。

更にDVDには、台湾ライブのドキュメンタリー"LiAR""真っ白な灰になるまで、燃やし尽くせ""Montage"のビデオクリップを収録されている。とりあえず買って欲しい。

 

 

11月17日からは約2年ぶりとなるホールツアー「15thライヴサーキット BUTTERFLY EFFECT」をスタートさせる。彼らの20年に向かう活動にわくわくが止まらない。

 

 

"アポロ"のMVをかじりつくように見ていた自分に伝えたい。あなたが衝撃を受けた歌声はまだちゃんとそこにあるし、初めて好きになった音楽は今も走り続けているよ、と。

 

 

 

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