鯉の滝登り

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米津玄師 - Flamingo / TEENAGE RIOT

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10/31、米津玄師の両A面シングル「Flamingo / TEENAGE RIOT」がリリースされた。ジャケットの美しさに惹かれてフラミンゴ盤(写真左)とティーンエイジ盤(同右)両方購入してしまったけれど、やっぱり米津作品は間違いない。物として所有したくなる仕掛けがいくつもあるし、歌詞カード・円盤のデザインにもこだわっているところが本当に嬉しい。

 

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タワーレコード渋谷店。1Fのエントランス正面(1枚目)、3Fエスカレーター上がってすぐ(2枚目)、2F下りエスカレーター右手(3枚目・米津さんが表紙を飾ったHIGHSNOBIETY JAPANの創刊号)。コーナーの場所からもその期待度の高さが窺える。

 

 

「今年は前回のシングル『Lemon』の大ヒットにより脚光を浴びた1年だった」みたいな語りをあちらこちらで見かけるけれど、ちょっとそのまとめ方はどうなんだろうと疑問が湧いてきてしまった。というより個人的にはあまりそう思わない。

もちろん"Lemon"はものすごく売れたし米津さんの存在がより多くの人に認知される大きなきっかけとなったことは間違いない。しかし、誰も通らないルートで着実に歩みを進めていった、その結果がストレートに表れた2018年だったと振り返った方がより適切なのではないかと感じている。彼の活動を具体的に遡れば大衆性の獲得は必然的だったのだと、これはかなり自信を持って言える。遠くへ行った、その距離が誇らしい。

 

本人は今回のリリースにおけるインタビューで"Lemon"について問われた際、「第一章・完」という表現を何度も用いている。後に米津玄師第一期とか呼ばれるんだろうか。となれば、今作は一度「完」となった米津玄師の再始動一歩目とも言えるはず。その方向が誰も読めないからみんなして前作と比べるしかないんだなと、なんだか突然腑に落ちた。

 

 

そりゃ無理もないぜ、"Flamingo"みたいな曲をA面に出してくるんだから。文学的なR&Bというか、妖艶な島唄というか...我々が言葉で表現できる音楽を逸脱している。でも「diorama」聴いてるといつかこぶしきかせてきそうだなっていう予感はありましたよね。みっともない感じを全面に出したとのことだが、それすら洗練されているようで混乱する。

誰もミックスしたことのなかったサウンドや世界観を、誰もが聴き入る普遍的な形に落とし込むのが本当に上手い。癖になるんだけど、楽曲を紐解いていくと恐ろしくなるくらい様々なものが絡み合っている。

"LOSER"のようなダンスもMVで披露しているが、相変わらず色気がすごくて見惚れてしまう。

 

 

一方で"TEENAGE RIOT"はちゃんと(なにがちゃんとなのかわからないけど)米津的バンドサウンドが落とし込まれている。ちょっとした安堵もありつつ、これは「BOOTLEG」を経てこそ輝いた楽曲だなあとも思う。というのも、あのアルバムは積極的に他者を巻き込んで作り上げた側面が非常に大きい。ソロアーティストとしてのスペックが高いために一人ですべてをこなしていた彼が他人を求めたことで、音楽がより広く彩りのあるものに進化した。RECメンバーは違うようだがMVにはいつものサポートメンバーも登場しており、楽曲に更なる広がりが生まれた。

そしていろんなところで話されている通り、元は"Lemon"のカップリングとして生まれた曲。更に遡ればサビの部分は中学生のときに組んでいたバンドの曲(恐らくlate rabbit eddaの"Arkamira")のワンフレーズ。そういうファクターもあってか、理性的な10代に「否」を突きつけるメッセージを込めたとZIP!で語っていた。飄々と米津玄師というアイコンを客観的に見つめ続ける彼自身が「衝動」を歌うって、ちょっと皮肉っぽくて好き。

 

 

そしてカップリングの"ごめんね"。幕張で一足早く聴いたときはなんとなく"翡翠の狼"っぽいなあと思っていた。周りの音に耳を塞ぎながらも心の奥で手を繋ぐような、弱さとあたたかさが共存している。彼のシングルが凄いのは、収録曲すべてが違う方向を向いていること。これ全部同じ人が作ってるんだぜ、信じられるかい。でも全部米津玄師だなあと思えてしまうんだから不思議。

 

 

 

自分が生きているこの世の中に米津さんの音楽があって、誕生の瞬間に次々と巡り会えているのがこの上ない幸せだ。ディスクレビューも結局上手く書けなかったけど、いい曲に出会えたからよしとしておこう。ツアーも楽しみ。当たるといいなあ。

 

幕張のライブレポートも少しずつ書いてます。早くあなたと開演前SEのお話がしたい。