鯉の滝登り

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9mm Parabellum Bullet - BABEL

(遅ればせながら5月分の記事です。)

 

 

5/11、9mm Parabellum Bulletが7枚目のアルバム「BABEL」をリリースした。

 

 

 

 

ご存知の通り滝さんがライブ活動を休止してから初のアルバムである。

前作「Waltz on Life Line」ではメンバー全員が作詞作曲に関わったが、1年経った今作は収録された全曲を新譜で挑み、作詞は卓郎さんが、作曲は滝さんが担当した。前作よりも「アルバム1枚を通して聴く」という付加価値が深く刻み込まれた印象。統一された荘厳さとロックなシンフォニーが胸に響く。

速弾きやタッピング、ギター・シンセが巧妙に練り込まれており、各楽器が思い思いにアンサンブルを紡ぐ。そしてありえないほどクサい(褒めてる)歌詞の応酬。

 

 

わたしは「The World」で9mmを知り、当初はかなりの熱量で追っていたのだが「Movement」あたりで離れてしまった。新譜だけは追っていて、もちろん好きな曲も山ほどあるのだがそこそこくらいの感覚。なぜかもやもやがすごくて。

そして畳み掛けるように滝さんの不調・休業。相手にする病気がジストニアなら、希望も不安も持てない。

 

 

そんな中でわたしの光となったのが"インフェルノ"である。今作に収録されている訳では無いが、この曲にタッピングを入れたことが転換のきっかけになったのでは。

 

 

今作は「原点回帰」とも言われているように、初期のサウンドを強く感じるアルバムとなった。正しく言うと、「新しい9mm Parabellum Bulletが昔の9mm Parabellum Bulletを弾く」みたいなイメージ。そこはかとなく懐かしいのに、その演奏技術は昔のものではなくひたすらにえげつない。ダサいのにかっこいい、絶妙な歌謡曲感。自分の中でも久々に9mmに引っ張られている感覚がすごい。

 

 

全10曲、約36分。主観とともにさくっと追う。

 

 


1. ロング・グッドバイ

1曲目から非常に飛ばしております。いきなりタッピングとブラストビートかましまくりのパワフルで激情的なイントロ。Aメロは穏やかに、サビは哀愁漂う四つ打ちディスコティック、プラス、ブラストビート。ドラムも恐ろしい。これぞ9mmたるクールさを見せつける。

 


2. Story of Glory

すごく1stの匂いがする。

またもやブラストビートでイントロへ。荒々しくも凛としたリフやブラストビートも絡んで疾走感がすごい。2曲目にして早くもメタリックなキラーチューンを入れてきた。歌謡曲っぽさも身に沁みる。

やっぱり卓郎さん上手くなってる。昔から彼の歌声は好きだけど、さらにレベルアップした歌唱力に引き込まれる。

 


3. I.C.R.A

最初曲名ざっと見たときイクラだと思って本当にごめんなさい。読めなかった。

タイトルとは裏腹にドラムが暴れまくっていてものすごい疾走感。歌謡曲の雰囲気も顕在。途中のスラップが印象的ですごく良い。久々にシャウトもありで、ああこれぞ9mm Parabellum Bulletという一曲。

個人的には滝さんソロ→和彦ソロ(ソロではないかも)へのトランスポートが最高。



4. ガラスの街のアリス

イントロからダサくてキャッチーで心を鷲掴みにされた。キメに絡むちーちゃんのドラム、本当に圧倒される。リフめっちゃ滝さんだなあ。

Aメロステイ→サビで爆発という9mmお気に入りの流れ。

なによりもアウトロ入りのギターにときめいた。これはやばい。動けなくなる。

リード・チューンらしい正統派。

 


5. 眠り姫

このアルバムに対して一つだけ言うならば、この曲はBABELっぽくないなと思った。前作の方が雰囲気は合ってる。実際に前作の時点でワンコーラスはできてたらしい。入れちゃっても良かったなあ。寝かせた方が良かったり、早く入れて上手くいったり、アルバムというのは難しいものですね。

でもベースはかなり上位に入るくらい好き。ありがとう和彦。

 


6. 火の鳥

メタリックたるメタリック。変拍子を駆使したキメがもうまさにメタリック。

「怒涛の弾丸音が猛スピードで連射炸裂する」とはまさにその通りだなと思った。タッピングの入れ方が最高すぎるキラーチューン。

自分の中の奥の奥の方に眠っているものを呼び起こされるような楽曲に仕上がっている。生命力がすごい。

 


7. Everyone is fighting on this stage of lonely

今作9mmっぽさ全開の歌謡ロック多いなあ。とても好き。
メロディは怪しげだけど、ブラストも入ってて焦燥を煽られる。サビがエモい。絶妙な歌謡感。ギターソロもエモい。メロディアスなパンクさを怒涛のカッティングが引き立てる。

 


8. バベルのこどもたち

バベルの名の通りかなりどっしりと構えた楽曲。終焉に向かっていくこの位置で、強い存在感を放つ。

リズム隊が最高。間奏では和彦の断末魔が久々に登場。

 


9. ホワイトアウト

バラードながらもこれまた歌謡感。冬を想起させるエモーショナルなテイスト作りはさすがです。

9mmはダサいのがかっこいいと思っているんですけど(褒めてます)、ちょっとおしゃれでびっくり(褒めてます)。艶やかでジャジーなエロいサウンドが印象的。

 


10.それから

ラストにキラーチューンぶち込むお決まりの展開。リフの迫り来る感じすごい。ほんとに滝さんすごい。アップテンポ曲だけどサビでは落とすクサい曲。好き。間奏がめっちゃダサい。好き。

シャウトや"Vampire Girl"以来(たぶん)の語りパートも盛り込まれている。

変則アレンジながらも爆走して去っていった。

 

 

 

めっちゃ良かった。本当に良かった。

旧約聖書バベルの塔の神話は神に逆らう人間が天高く塔を築いて破壊されるけれど、9mm Parabellum Bulletは塔を破壊しながら誰も届かない高みへ突き進んでいる印象がある。

彼らにしか鳴らせない音楽をこれからも鳴らし続けて欲しい。

 

 

 

5/10 fun time HOLIDAY6の福岡公演、非常に行きたかった。就活で行けなかったのだけど。

LIVE HOLICでアクトを観てとても満足したのだが今回のアルバムを聴いてやっぱり滝さんが帰ってくるまで待とうと思った。武田さんはじめとしたサポートの方々がめっちゃ上手いのはすごくわかるんだよ。

 

 

でもわたしのなかで9mmは滝さんなんだ。

 

 

「方向性の違い」なんていう覚悟の欠片もない理由で脱退・解散するバンドが多い昨今だが、ライブで十分なパフォーマンスができない状況に陥っても「9mmでやりたいことはまだまだたくさんある」と語る滝さんが好きだ。オリジナルメンバーの重要性を改めて感じる。完全復活するまでワンマンは行かないでおこうと思う。

 

 

 

特典DVDは以下の通り。 

[DVD]
■「TOUR 2016 “太陽が欲しいだけ"」 16.11.05 At 豊洲PIT
太陽が欲しいだけ
Discommunication
モーニングベル
インフェルノ
ロンリーボーイ
スタンドバイミー
反逆のマーチ
Lost!!
The Revolutionary
生命のワルツ
Talking Machine

 

■特典映像「BABEL」レコーディングドキュメンタリー

 

 

これからがますます楽しみになった。

 

 

 

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