鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

2月の逆バレンタイン

フラゲ日」というのは不思議なものである。発売日というものが(一応)ありながら、前日もしくはそれよりも前にあっけらかんと店頭に並んでいる。禁止されている訳では無いし、入荷してから少しでも早い時間にリスナーの元へ届けるということを考えれば素晴らしいシステムではある。

一方で最近は様々なアーティストがCDショップまわりというものをするようになった。大体の場合公式発売日(もしくはそれ以降)に行われるため、僅かな可能性にかけて巡り会いたいという人はフラゲを我慢してリリース日にお店に行かなければならない。もしくは2日続けてCD店を訪れる必要がある。

CDフラゲとは話が少しずれるが、昔札幌に住んでいたとき、雑誌の入荷が遅いというのは日常茶飯事であった。発売日よりも前に買えるということはまずなかったし、発売日に行っても既視感しかない先月号が堂々と並んでいることがほとんど。地域差なので仕方ないと言えば仕方ないが、マドンナみたいに世界同時発売とかにしてくれないかなあと思っていた時期があった。

 

余計なところで話が長くなった。

本日2/15に米津玄師がシングル"orion"をリリースした。偶然とわかっていながら敢えて声高に言おう。これは米津玄師からの逆バレンタインCDである。異論は認める。わたしも異論あり。でも逆バレンタインってそこそこロマンじゃない?ってことで許して。

 

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 いつものようにタワーレコード渋谷店へ向かった。特設コーナーの前には意外にも男性ファンが多く、試聴したりCDを手に取りアートワークを眺めたりしていた。

 

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この左上で寒そうにしている米津玄師を撮ったカメラマンは中野敬久さんという方なのだが、彼が撮る米津玄師が本当に最高なのだ。昨年行われたツアーや夏フェスの写真も彼が撮っていた。臨場感がありながらも等身大で、米津玄師に内在しているものまで溢れてくるようである。探せば出てくると思うので是非。

 

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サイン。

 

 

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購入したのはこちらの「ライオン盤」。もう一つジャケットと内容が異なる「オリオン盤」も用意されているが、こちらはDVD付き+零くんということで個人的には即決だった。

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法人特典がこちら。クリアブックマーカーらしい。栞をつけて閉じてsee you next session!

 

本作はアニメ「3月のライオン」第2クールのエンディングテーマとして書き下ろされた。原作からのファンなのだが人間として考えさせられることが多くて、すごく心に響く漫画だ。

オープニングテーマの"さよならバイスタンダー"(YUKI, 2017)もシングルを購入したが、こちらも最高なので是非聴いていただきたい。次のアルバムを購入したら記事を書く(予定)。

 

第1クールはOP・ED共にBUMP OF CHICKENが担当していた(アンサー/ファイター)。以前漫画とのコラボレーションもあったため、BUMP OF CHICKENと「3月のライオン」の関係は相当に密である。ここから引き継ぐというのは大いにハードだと思っていたが、この2人が見事に成し遂げた。特にこの25歳はBUMP OF CHICKENのファンであることを公言している。BUMPの4人は彼のことを知っているのかなあと思っていたら、直井由文(Ba.)がこんな爆弾を落としてきた。

 

 

このツイートを見て米津玄師はどう思っただろう。大好きなバンドのメンバーのツイートに自分の名前が出ている。しかも最強スペシャルサンドイッチって。わたしが米津玄師なら泣き崩れた。両アーティストのファンとしても本当に嬉しかった。当の本人はしっかりとバトンを引き継ぎ、3月のライオンの世界に新しい彩りを添えた。

 

 

さて、そのシングルについてである。

前回のシングル"LOSER/ナンバーナイン"からあまり間が空いていない。"LOSER"で衝撃だったことと言えばなんと言ってもこのダンスであろう。

 米津さん踊れるんかーい!

びっくりしたわ。しかもめっちゃ上手い。やってみたかったってだけでこんなに踊れるもんかい。屋上での横ステップみたいなやつ一番好きです。

 

そしてこちらが今回のMV。あれ、踊ってない。戻った感じある。

でもこの曲の世界観・テーマ的にダンスという感じではなかったのかもしれないなあと考えるとなんだか腑に落ちた。

 

1.orion

夜空やプラネタリウムを思わせるキラキラしたイントロ。Aメロからハモりが多くてメロディが綺麗。

このアレンジもしかして蔦谷好位置...?と思ったらドンピシャでした。

  

《心の中 静かに荒む 嵐を飼う 闇の途中で》

 

このフレーズがすごく"ファイター"っぽいなと思った。そういうビューで聴いてみると、"orion"は星座とあなたを歌いながらも「3月のライオン」の世界観をしっかりと表現しているなあと感じた。藤原基央がよく「タイアップ先に合わせて曲を書くのではなく、いつもと同じように自分の体験したことを書いたら話とリンクした。自分とかぶっているところの面積が多いからだ」というようなことを言うが、米津玄師にもそれが当てはまるのではないだろうか。もちろん両者のファンとしてはBUMP OF CHICKENの世界観に知ってか知らずか影響を受けた、とも思いたいが、純粋に彼とこの作品にリンクする面積が大きかったのではないかと強く思った。

3月のライオン」で柱となるのは零くん自身のへばりつくような闇、将棋や自分の境遇に立ち向かう強さ、川本家の明るさ・あたたかさなど。タイアップがついた曲はどれもこのあたりが上手く作品と絡んでいて素敵だ。ファイターに関しては何百回も聴いているのにいまだに泣かずにはいられない。

 

1番Aメロの歌詞。


《あなたの指がその胸がその瞳が 眩しくて少し眩暈がする夜もある それは不意に落ちてきて あまりにも暖かくて 飲み込んだ七色の星 弾ける火花みたいに ぎゅっと僕を困らせた それでまだ歩いて行けること 教わったんだ》

 

零くんと川本家(ひなちゃん)であり、米津自身のことでもあるように思う。タイアップとして聴いたらもちろん前者だが、米津玄師はよく人にあたたかさを教わっているような気がする。

 

 

c/wについてはCDで聴いていただきたいのでざっくりとだけ。

 

2.ララバイさよなら

大好きなライターさんの1人に蜂須賀ちなみさんという方がいるのだが、彼女がこの曲を推していた。聴いて納得。

コード進行にdiorama〜YANKEEあたりを感じて懐かしさすらある。

不協和音ギリギリを這うようなサウンド、古いような荒いような言葉遣い、僻み開き直り自己嫌悪イライラ自虐...これら全部米津玄師。

 

3.翡翠の狼

 タイトルからは想像出来ない南国みたいなサウンド。ラララの部分が妙に軽快。

これも表題曲に劣らずタイアップでよかったんじゃないかって思うくらいの歌詞。なんなら3曲すべてでもおかしくない。

3月のライオン」の世界観を米津玄師はこの3曲ですべて表現しきった。主人公である零くんと米津自身の重なる部分が大きかったり、作品の意図を汲むことができたりと要因はいろいろあると思うが、このタイアップが付くべくして付いたものであるとこの曲を聴いて思わずにはいられなかった。

 

 

 

初回特典として7月14.15日に東京国際フォーラムホールAにて行われるワンマンライブ「RESCUE」の先行シリアルが封入されている。19日までの応募なので、まだの方はぜひ。

 

前回のツアーのチケットが本当に当たらなくて焦った。ギリギリのところでお譲りいただいたのだが、音楽隊まではサクッと取れていたために衝撃が大きかった。今回も2公演のみですしきっとものすごい倍率でしょうよ。こればっかりは仕方ないですね。ホールで観たいな米津玄師。

 

 

米津玄師の凄いところは、才能にしてもその方向性にしても、多様性という言葉を1人で体現している点にある。世の中を皮肉りながらも人のあたたかさに触れて微笑む。止めたくなるくらいに自虐をしても愛する人への気持ちの伝え方はとても清々しくてかっこいい。

どこまでも人間らしく、どこまでも愛おしい25歳。次の一歩はどちらへ。2017年も活躍が楽しみだ。