鯉の滝登り

好きなものを、好きなように、好きなだけ。

BUMP OF CHICKEN 20-21

2月11日という日がBUMP OF CHICKENのファンの多くにとってより特別な日となったきっかけは、恐らく一年前のライブに違いない。往年のファンだって、記念日を意識しない人ならあまり特別に感じたことはなかっただろう。それは4人が自分たちの記念日を公式に盛大に祝うということがかつてなかったからだ。もちろん毎年お祝いしている人もいるだろうので、そこは誤解しないでほしい。

 

2016年の彼らはこれまで以上に自分たちと向き合い、オーディエンスと向き合い、今の音楽シーンにいるBUMP OF CHICKENと向き合った1年だったと思う。臆病で勇敢な4人に感謝したい。

 

 

さて、自分とBUMP OF CHICKENの出会いについて僭越ながら語らせていただく。

 

出会ったのは16年前。当時は父の仕事の都合で、イギリスを中心とした海外と日本を行き来する生活を送っていた。今となっては面倒なので「生まれてから12年間イギリスで過ごしました」と言うが厳密に言うと結構日本にもいた。

 

ある日CDのCMを目にした。不健康そうな男性が最後のワンフレーズをアカペラで歌い、右の目元でピースした。

 

これがわたしがBUMP OF CHICKENに惹かれた日だった。

 

自分では覚えていないのだけれど直後「あのCDが欲しい」と言ったそうだ。誕生日プレゼントとして、近くのCD店に母と一緒に買いに行った記憶は鮮明にある。

 

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その年が明けてすぐ、またイギリスに戻ることになった。転校が多かったので友達は少ない。浅くはすぐに打ち解けられるけれど、心を開くには時間がかかるというのは今も変わっていない。

音楽にすごく助けられた。洋楽も聴いていたけど、日本が本当に恋しかったのでポルノやミスチル、サザンなど、聴きたい曲を見つけては日本にいる親戚に頼んで送ってもらっていた。BUMP OF CHICKENもその中にいた。メジャー1枚目、通算3枚目のオリジナルアルバムである"jupiter"は、文字通りずーっと聴いていた。詳しく書くつもりはないが、BUMP OF CHICKENに救われていた部分は本当に大きい。

 

 

しんみりしてきたので割愛。

 

2016年2月11日。

幕張メッセで20周年記念ライブが行われた。

 

実は落選していたのだけれど、素敵な方のおかげでAブロックで観ることができた。本当に感謝してもしきれない。後にこの方とはUNISON SQUARE GARDENのライブでお会いできたのだが、感謝が募って月並みなお礼しかできなかった。改めて本当にありがとうございました。

 

海浜幕張駅降りたら「チケット譲ってください」の数々。申し訳なさと、恐怖感と、優越感と、感謝と、期待感と...いろんな感情を抱えながら道を進んでいった。

 

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ゆるゆる向かったので物販に5時間かかった。まあこんなもんよね。

 

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セットリストが思い入れのある曲ばかりで、1人で行ったのに終始号泣。ああ、わたしまだ音楽でこんなに泣けたんだなあ。前日に発売されたアルバムを全く引っさげていなかったけど、なんだかそれすら嬉しかった。

DVDには収録されていなかったけれど、藤くんが「この看板は20歳になりました」って言ってくれたのが本当にぐっときた。表現が好きすぎるし、短い文章の中に凝縮された感慨深さが伝わってきた。

 

 

そしてその年の4月から、STADIUM TOUR "BFLY"がスタート。

 

個人的にBUMP OF CHICKENは「ライブを数多く観たい」というバンドではないし、「なるべく近くで観たい」というバンドでもない。1回のライブで心打ちひしがれるほどに圧倒されるからだ。逆に何度も観て楽しいというバンドもいる。これは好きの程度の問題ではないと思っている。BUMP OF CHICKENの放つ音はいつも側に居てくれる感覚。

 

日産2日間のライブを観させてもらった。1日目はありがたいことにお譲りいただいたのだが、2日目は自分で当てることができた。しかもアリーナのブロック。それだけで幸せ。

 

物販が1時間半しか並ばなかったことが衝撃的すぎた。個人的な見解を述べさせていただくならば、グッズのために前日から徹夜で並んだり、始発で眠さや寒さをも引き連れて列へ向かったりしなければならない状況はあんまり楽しくないなあと思っていた。悪びれもせずに代行を頼むのも違うし、それを引き受けて前列で買い占めるのも違うなあ。仕事・学校帰りで滑り込む人たちにも買えてほしい。そういう意味ではMr.Childrenの物販は完璧だった。

日産スタジアムの2日間でも売り切れを危惧してか早くから多くのファンが並んでいたようだが在庫・テントともに本当に十分で、過去最高にスムーズな物販だった。レディクレよりもフェスの物販感(ディスではありません)。スタッフの皆さま本当におつかれさまでした。

 

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開演前のカウント、スタジアム童貞を2日とも言ってみせたチャマ、ゆるいウェーブ、はじめてのアリア、号泣したファイター、夕焼けについて語る藤くん、rayで相変わらずチャマを見るヒロ、喋らないけど愛されているのが伝わってくる秀ちゃん、シールドを壊す藤くん、花火、天体観測、小机駅までの帰り道、夏の夜のくすぐったい匂い、金麦7本。ザイロバンドいらない派ではあったけど、これを見ると書き切れないほどの思い出が甦る。

 

彼らは今年もロックインジャパンフェスに出場し、1番大きなステージのトリを飾った。藤くんのうっかり問題発言(?)もあったものの、安定の演奏でフェスを締めくくってくれた。あの日は朝から本当に楽しかったしすごく戻りたい。

 

 

アリア・アンサーの配信リリースを経て、昨晩である。急遽決定した配信スタジオライブで新曲"リボン"を披露してくれるとのこと。

 

当日、ライブ開始まではわくわくしていたのだが、始まった瞬間から心臓が止まりそうになり、終わったときにはスマホを放り投げて泣いていた。

 

録音・録画はなんだかしたくなくて(そもそもやり方がわからないけど)、アプリで見ながらパソコンでがんばってタイプしてみた。誤植あっても許してね藤くん。

 

*リボン
嵐の中をここまで来たんだ
嵐の中をここまで来たんだ
出会って生まれた光追いかけて

ポケットに勇気がガラス玉ひとつ分
それぞれ持ってるガラス玉ひとつ分

並べても同じ数 あの日から始まりから

つぎはぎの傘 汚れたカンテラ
手作りの地図 大事にいっしょに使った

ここはどこなんだろうね どこに行くんだろうね
誰一人分かってないけど
そばにいることを選んで 
今そばにいるから迷子じゃないんだ

たくさん笑ったり それより遥かに少ない
泣いたり怒ったりしたことの全部が
音符になって繋がって僕らを結んだ

ポケットに恐怖が宇宙と同じくらい
それぞれ持ってる宇宙と同じくらい

同じ時に震えたら強くなれた 弱くなれた

指差したUFO すれ違った野良猫
あくびのユニゾン あと何があった
教えて

意地が恥ずかしさに 負けないで
心で正面から向き合えるよ
僕らを結ぶリボンは解けないわけじゃない
結んで来たんだ

君の勇気を僕が見れば星だ
並べても同じでありたい

ああ ここはどこなんだろうね
どこに行くんだろうね 迷子じゃないんだ

嵐の中をここまで来たんだ
嵐の中をここまで来たんだ

カウントからせーので息を読み合って
泣いたり怒ったり笑ったりの全部で
嵐の中をここまで来たんだ
出会って生まれた光を追いかけて

嵐の中をどこまでも行くんだ
赤い星を並べてどこまでも行くんだ

 

 

UNISON SQUARE GARDENの"プログラムcontinued"のように、自分たちの過去を、楽曲を、紡いでできた唄だ。

"ファイター"、"カルマ"、"ウェザーリポート"、"セントエルモの火"、"グングニル"、"ランプ"...数え出したらきりがない。

 

でもそれより、これらを繋ぐ歌詞にも注目したい。

うまく説明出来ないけれど、どこを掬ってもBUMP OF CHICKENだなあと思う。ある意味で藤原基央の書いてきた歌詞が細部まで実体験でありながらどこまでも普遍的であるということを象徴しているかのようだ。

 

BUMPの4人はリボンにする紐をどこかで買ってくるんじゃなくて、紐になりそうな素材を道端や川辺で拾い集めて全員で紡ぐところからはじめそうだなあ。ただ結ぶだけなら10秒も要らないところを、敢えて何日間もかけて紐を作っていそうだ。

4人にしかわからない言葉を交わし合いながら紐を作る。彼らはきっとそれで満足なんだろう。だからこそこの20周年の1年の終わりを結んでくれたことに感謝が溢れる。わたしたちも仲間に入れてくれてありがとう。20周年という節目を、いろんな場所で、いろんな形で、いっしょに祝わせてくれてありがとう。

 

 

普段いろんな音楽を聴くが、BUMP OF CHICKENには祖父母の家のようなイメージがある。毎日帰る場所ではないが、いつ行ってもあたたかい。迎え入れてくれる雰囲気。原点。日常に戻るときは少し寂しいけど、変わらず明日はやってくる。

 

辛くなったとき、背中を蹴ってほしいときとただ側に居てほしいときがある。BUMP OF CHICKENは後者だ。そのおかげで立ち上がれても、彼らは驕ることなく微笑んで手を振ってくれる。

 

これからもきっとこのへなちょこ4人組にはお世話になるだろう。21年を経ても好きなようにやってほしい。彼らを追って出てきたバンドは本当にたくさんいるのに、当の本人たちはあっけらかんとしている。好きだなあ。

出来ればホールかライブハウスで観たいな。倍率高いのなんて百も承知だから。

 

 

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